~イッシュ地方~
シャア「……………ううっ………こ、ここは……………?」
「彼」が目を覚ますと、そこは青々とした木々に囲まれた静かな森だった。近くには川があるのか、せせらぎの音も聞こえる。
シャア「………確か私はあの時………アムロのνガンダムと戦って敗れてアクシズを包むサイコフレームの光に奴と共に飲み込まれて、それでっ!?」ドサッ
「彼」が立ち上がろうとするも、直ぐによろけてまた地面に突っ伏す。
シャア「?………立てない?どういうことだ?それより………体が以前よりも重く感じる」
シャア「………それ以前にここは何処なんだ?私は宇宙にいたはず………」
シャア「……………考えるのは後だ。喉が渇いた、そこの泉で水を飲もう」
何故か立てない「彼」は四つん這いになりながら、近くにある川の源流たる泉に歩みを進める。
シャア「くっ!…………よもや私ともあろう者が、このような歩かされ方をするとはっ…………!!」
恥辱に耐えながらやっと泉に辿り着き、「彼」は水を飲もうと水面を覗き込む。 水面は風で揺らいで反射する
「彼」の顔ははっきりと認識できなかった。が、それを見て「彼」はある違和感を覚える。
シャア「ん?私の顔はこんなに大きかったのか?」
やがて風が凪ぎ、水面の揺らぎが収まると、水面に映る「彼」の顔が視認できるようになる。
シャア「!?な……………なっ………………!?」
水面に映っていたのは、泉のような色の体毛とでかい鼻穴と赤かオレンジなのか分からない鬣と、ユニコーンのような見た目の小さな獣だった。
ケルディオ(シャア)「キュリルアァァァァァァァァァァァァァァ!!??(な、なんだこれはぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!??)」
ケルディオ「………いやいやいやいやいや!!お、落ち着け、シャア!!ま、まずは状況整理だ!!そうしよう!!」
ケルディオ「ま、まず、私は確か今の今までサザビーのコックピット内にいたはずだ。そして、アクシズを地球に落として核の冬で人の住めない星にする為に核搭載の艦を用意していた。うん、ここまでは覚えてる」
ケルディオ「でだ、アムロのνガンダムに3番艦を撃墜されたから、残りの艦を守る為に、私は必死に応戦した」
ケルディオ「だがアクシズはブライト達に小細工で半分爆破され、もう半分だけでも地球に落とそうとしたが、結局人の意思が集中しすぎてオーバーロードした事によるサイコフレームの共振からなのか知らんが、謎の光が生み出されそのもう半分も止められてしまい地球寒冷化作戦は失敗、私もその光に巻き込まれた………」
ケルディオ「……………ということは、私は死んだのか?」
ケルディオ「あのアクシズを包むほどのサイコフレームの光は質量をもった物質を動かすだけでなく、魂を肉体から強制的に引き離す力もあるというのか…………?」
ケルディオ「………つまり、この今の状況はあのサイコフレームの放つ膨大な光が発生したが故に起きた、ということか?」
ケルディオは再び泉に映った自分の姿を覗き込む
ケルディオ「いやいやいや、いくらサイコフレームの力とは言え、私がこんな得体の知れない獣になることなど、あり得ないだろう」
ケルディオ「というより………私は一体「何」になったのだろうか?そしてここは何処だ?明らかスウィートウォーターではないことは確かだが……」
ケルディオ「……………いや、例えここがどこであろうと、私が何者になろうとも、関係ない」
ケルディオ「私は、アクシズを地球に落とし、オールドタイプを滅ぼし、全人類を宇宙に打ち上げニュータイプに進化させて誰もが分かり合える美しい世界を作り上げなければならないのだ!」
ケルディオ「アクシズ落としが人の意思の集中で暴走したサイコフレームの力で失敗に終わったということは確かだ。そしてそれは、私の野望は未だ成就されてないことを意味する!」
ケルディオ「だから仮に私がサイコフレームの暴走でこのような姿になろうとも、我が歩みを止めることはできないのだ!!」
ケルディオ「……………さて、そうと決まればいつまでもここで考えてる場合ではないな」
ケルディオ「しかし、とはいうものの、アクシズはもう使えないな。別の隕石を。いや、またあの力で止められる可能性がオチだ。ならば新しい方法で地球環境の浄化と保全を考えるとするか。
それにしても、この姿で、この世界。ここは私がいた世界とは別の世界なのか。つまりこれは俗に言う異世界転生というやつか。じゃあ私は本当に死んだのだな。あの光によって。
そういえば、ララァもかつて言っていたな。「輪廻転生は存在する。魂は不滅で死をえれば何度だって生まれ変わる」と。」