学校法人「森友学園」への国有地売却を巡る決裁文書改ざん問題で、財務省がまとめた調査報告書案が四日判明した。
当時理財局長だった佐川宣寿(のぶひさ)前国税庁長官が政治家名が記載された文書を「外に出すべきでない」と発言して改ざんを主導。
安倍晋三首相が夫妻の関与を全面否定した国会答弁を契機に、森友側との交渉記録を廃棄したと認定した。
佐川氏ら財務省と近畿財務局の関係幹部・職員計二十人を処分。同日午後に公表する。
首相は記録廃棄や文書改ざんは自身の答弁と無関係だと先月の国会審議で強調しており、野党が矛盾を追及するのは必至。
麻生太郎財務相は閣僚給与一年分を自主返納した上で続投する意向で、政権への批判が高まりそうだ。
財務省による処分は佐川氏が最も重く停職三カ月相当とし、退職金を減額する。
理財局総務課長は停職一カ月。当時の次官は減給、官房長を厳重注意として監督責任を明確にする。
調査報告では「書き換え」と表現してきた従来の表現を改め、悪質性を認めて「改ざん」と初めて明記。
動機については佐川氏らの国会答弁と齟齬(そご)をなくして「国会質問を極力少なくするため」などと結論付けた。
一連の改ざんは昨年二月二十六日、特例扱いの定期借地契約を申請する決裁文書から、安倍昭恵首相夫人の名前などが書かれた経緯を削除することで始まった。
国会で森友問題が連日取り上げられる中、理財局総務課長らが国会議員秘書らによる照会状況が記載された文書の取り扱いを佐川氏に相談した。
佐川氏は具体的には指示しなかったが「外に出すべきでない」と応じたことから、総務課長らが改ざんした。
佐川氏はその後も自身の国会答弁を踏まえた内容に変えるよう念押ししたほか、部下に「しっかり見るように」などと指示しており、局長として改ざんの「方向性を決めた」と認定した。
交渉記録を巡っては、首相が昨年二月十七日に「私や妻が関係していたなら首相も国会議員も辞める」と答弁したことをきっかけに、理財局総務課長らが昭恵夫人の名前が入った交渉記録の存在を確認。
他の議員秘書らによる照会記録とともに廃棄した。
国有地の地中に埋まったごみの撤去費用については理財局職員が森友側に「トラック何千台も走った気がする」との口裏合わせを依頼した。
会計検査院に対して改ざん事実を隠していたことも報告書に明記した。
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018060490135540.html