http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/021900010/111000027/?P=3
子供の貧困を「ジブンゴト」の問題として捉える
ご著書でも、子供の貧困を「他人事ではなく」「ジブンゴト」として捉えて欲しいというメッセージが繰り返し述べられていますね。
小林:この問題がメディアに取り上げられる時には、極端ではないかと思われる貧困の実例を紹介するケースがしばしばみられます。
確かにインパクトがあって関心は呼ぶのですが、どこか「他人事」に感じてしまいがちです。そこで、私はもう少し引いた視点で、
数字を示して、子供の貧困は身近なところに存在していて、もしかするとすぐにそちらに転落してしまう「ジブンゴト」の問題だと感じてもらえたらと思ったのです。
貧困の子供たちへの投資が最も高いリターンを生む
その説得材料として、子供の貧困の社会的損失が大きいという試算をされたわけですね。
小林:高校中退で中卒になると40歳になった時、男性の4人に1人が働けていないというのはショックな数字でした。逆に言えば、
子供の貧困対策として高校を卒業できるようにすれば、その人たちは働くようになるわけです。生活保護費がいらなくなる一方で、
税金や社会保険料が国などに入るようになるわけです。この本でも紹介しましたが、ヘックマンという学者は貧困状態にある子供たちへの投資が
最も高い投資リターンを得られると言っています。年率で15〜17%だというのです。
15%ですか。
小林:日本での計測結果ではないので、日本でそこまでの投資リターンが得られるかは分かりませんが、今の低金利の中で、
かなりのリターンが期待できる可能性はあります。子供の貧困対策はリベラルな人たちが支持する社会福祉政策としてだけでなく、
穏健な保守主義の人たちにも受け入れられる「成長戦略」になると思います。
アベノミクスでは、女性の活躍促進や、高齢者が働き続ける事を後押ししていますが、貧困状態にある子供は経済社会の中できちんと活躍できていませんね。
小林:安倍晋三首相は女性の活躍を社会問題としてだけではなく、経済問題として捉えると言いました。
まさしく子供の貧困を社会問題としてだけではなく、経済問題として捉える事こそが重要だと思います。
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