山梨県は今夏、富士山登山者に呼びかけている入山料(保全協力金)の協力率を高めるため、キャッシュレスシステムを導入する。5合目の総合管理センター脇に設置し、8月に実証実験を行う。
県と富士北麓の市町村による連絡会議で29日、県が明らかにした。後藤斎知事は会議後、報道陣に「海外で電子マネーの利用が進んでいる現状を踏まえた。協力率70%を達成したい」と述べた。最近では日本円を多く持たない外国人登山者も増えているという。
県世界遺産富士山課によると、5合目に設置する読み取り機は、クレジットカードと電子マネーでの支払いができる。案内板も設置する。
利用できるのは、主要なクレジットカードと交通系のスイカやパスモなどの電子マネー。中国系の「支付宝(アリペイ)」も利用できる。iPhone(アイフォン)などは使えるが、アンドロイド系のスマートフォンは使えない。
本格導入を前に、8月1〜16日に実証実験を行い、暴風雨や砂ぼこりに対する機械の耐久性を調べる。
同課によると、入山料は富士山の環境保全や登山者の安全対策に活用する目的で平成25年に導入。登山者に任意で原則1千円を求めている。
しかし、協力率は振るわず、団体の事前受付などの工夫をしているものの、昨年の吉田ルートは56・9%だった。
雨天でも手袋を外さずに使えるクレジットカードのほか、特に、中国人に電子マネーの利用者が多いことに着目し、県はキャッシュレスシステムの導入に踏み切った。
2018.5.29 21:00
https://www.sankeibiz.jp/macro/news/180529/mca1805292100022-n1.htm