>>113 断っておくが、世界中から育種素材を集め、品種開発をする行為自体は不法ではない。
人類の古くからの営みであり、現代の品種登録の制度上も、親となる素材の開発者の同意すら必要とされない。
日本のおいしいイチゴ品種の源流を辿れば、昭和25年にアメリカから導入されたダナーであった
。しかし、韓国の策略的なやり方は、違法栽培に端を発する経緯から明らかなように、
完全に度を超している。法の網目をくぐりぬけるとはこのことだ。
■韓国政府の手厚い支援
ただ、品種力だけで、日本の生産量、輸出量を大幅に上回ったわけではない。
背後には、韓国政府の手厚い支援があった。できた品種の苗生産から栽培技術、生産設備の補助、
海外のマーケット開発、輸出の空輸代まで、国が手厚く支えていった。
輸出にかかわる補助金も充実している。サンプル輸出時の通関コスト(70%補助)、残留農薬試験コスト(80%)、
保冷庫の購入費(70%)がある。輸出の物流費に対しては、政府から最大10%、自治体から最大25%の
合計35%が補助される。ただし、この補助金は前年実績で25万ドル以上の輸出があった農業団体・企業にのみ支給される。
自助努力で輸出マーケットを切り開いた者だけを補助することで、競争原理を促すためだ。
輸出先はアジア以外でも、アメリカやロシア、遠くはアラブ首長国連邦、オランダにまで及んでいる。
物流試験も繰り返され、収穫から遠隔地のスーパーに並ぶまでの温度管理や荷物扱いまで研究が進んでいる。
栽培技術の近代化でも抜かりがない。土耕栽培からより効率的な高設養液栽培にシフトした場合、その投資に対して、
国の50%補助がある。イチゴの主力産地では、国の補助に加え、独自の補助制度を有している。
輸出農場限定の補助制度もある。農薬管理など、輸出向け安全基準の周知・徹底は、政府主導で図られている。
■韓国産イチゴの全面広告
こうして成長した韓国のイチゴ業界にとって、日本産などすでに眼中にない。「イチゴ輸出促進プログラム」を読むと、
ライバルは物量・価格帯で優位性を持つアメリカ産やオーストラリア産、ニュージーランド産と名指ししてある。
海外でのプロモーション活動も活発だ。シンガポールや香港、バンコクなどアジアの主要マーケットでは大規模な
広告を展開している。たとえば、路面バスの外側を全面、韓国産イチゴの広告で染め上げ、消費者に
「韓国のイチゴの時期がやってきた」と訴求する。現地のマスコミを一同に集め、韓国産イチゴ解禁のお披露目会もしている。
ワインの「ボジョレ・ヌーボー」のような宣伝手法を巧みに用いているのだ。