![【業績】RIZAP、70億円の最終赤字 拡大路線を転換【M&A路線の転換】 ->画像>3枚](https://www.nikkei.com/content/pic/20181114/96958A9F889DE1E5E5E6E2E1E0E2E3E6E3E3E0E2E3EAE2E2E2E2E2E2-DSXMZO3774987014112018TJ1001-PB1-4.jpg)
決算説明会で謝罪するRIZAPグループの瀬戸健社長(14日午後、東京都港区)
■瀬戸氏「撤退、売却を検討」
記者会見には瀬戸社長と、カルビーから6月にRIZAP入りした松本晃代表取締役の2人が出席。瀬戸氏は、「事業の選択と集中を進める。短期的な投資回収や収益改善が難しい事業、当初想定していたグループシナジーが見込めない事業については積極的に縮小、撤退、売却を検討していく」と述べ、M&A(合併・買収)による拡大路線を転換すると明らかにした。
RIZAPはM&Aに特に積極的な新興企業として知られてきた。この2年で傘下に収めたのは60社以上。2、3年かけて黒字化するとしてきたものの、現実には再建が思うようにいかない子会社も多い。今回、不採算事業の整理や固定資産の減損損失などの計上を迫られた。
この結果、営業損益は33億円の赤字(前期は135億円の黒字)と従来予想の230億円の黒字から大幅に下方修正した。アパレルや雑貨など異業種を取り込む多角経営に陰りが見えており、今後は主力事業と位置づける完全個室型のトレーニングジムなどに注力する。
4〜9月期は85億円の最終赤字を計上した。経営責任を明確にするために、瀬戸健社長は18年4月〜19年3月までの1年間、役員報酬の全額を自主返上する。その後も連結営業利益が230億円を超えるまで報酬の返上を続けるとしている。
今回、明確にしたのが拡大路線からの180度の転換だ。事業の選択と集中を進めるために、新規のM&Aを凍結する。短期での収益改善が難しい事業や、当初想定していたようなグループ企業同士の相乗効果が見込めない事業からは撤退や売却を検討する。
■営業利益の6割が「負ののれん」
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記者の質問に答えるRIZAPグループの松本晃代表取締役(右)と瀬戸健社長(14日午後、東京都港区)
この路線変更は、RIZAPの利益に大きく貢献してきた会計処理が今後は使えなくなることも意味する。この会計処理とは、買収の際に発生する「負ののれん」だ。
負ののれんとは買収額が買収先の純資産を下回った場合に計上するもので、その差額は営業利益に一括計上される。経営不振の赤字企業を中心に買収してきたRIZAPでは、この一時的な会計上の利益で営業利益が押し上げられていた。18年3月期の営業利益(135億円)のうち、6割以上を負ののれんが占めた。
だが今回、矢継ぎ早の買収路線を修正することで、今期見込んでいた「負ののれん」による利益が計上できなくなる。新規買収による黒字企業の収益貢献も見込めず、M&Aの凍結で総額100億円を超える利益が押し下げられる。
RIZAPは札幌証券取引所アンビシャスに上場する。2003年に設立したわずか15年の会社だが、積極的なM&Aで急拡大してきた。13年3月期に10社だった連結子会社は18年3月時点で75社に膨らんだ。この半年でも買収を続けており、11月時点での連結子会社は85社にものぼる。
今回はフリーペーパー発行のぱどやCD・ゲームソフト販売のワンダーコーポレーションといった子会社が損失計上を迫られた。RIZAP自身の性急ともいえる拡大路線で、経営のコントロールが難しくなった面は否めない。「再建は現場の力でやる」(瀬戸氏)という基本方針でやってきたが、赤字企業を短期間に再生させるには困難が伴った。子会社のノウハウを共有することで新商品開発を加速したり、顧客を相互に紹介したりするなどして目指してきた「RIZAP経済圏」は曲がり角に来ている。
>>2 に続く
2018/11/14 15:37 (2018/11/14 18:37更新)
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37740320U8A111C1000000/