内閣府が10日発表した5月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、街角の景気実感を示す現状判断指数(季節調整済み)は44.1と前の月から1.2ポイント低下(悪化)した。悪化は2カ月ぶりで、2016年6月以来2年11カ月ぶりの低水準となった。10連休後に消費者の節約意識が強まったほか、米中貿易摩擦の再燃による世界経済の先行き不透明感も重荷になった。内閣府はウオッチャーの見方を「回復に弱さが見られる」に据え置いた。
家計動向関連、企業動向関連、雇用関連がいずれも低下した。家計動向は0.6ポイント低下の44.1だった。北陸の高級レストランでは連休中に例年以上の集客があった一方、その後の反動減も大きく「5月のトータルでは例年より若干の集客減となる」という。北関東の旅行代理店では「連休の反動か、宿泊の伸びが鈍化している。地元での消費も鈍い」との声があった。
企業動向は2.5ポイント低下の43.5だった。「北米の自動車向け設備投資の引き合い案件はほぼすべて延期か凍結となってしまった」(東海の一般機械器具製造業)と厳しい声が出た。「中国経済の減速懸念もある」(内閣府)という。雇用は2.9ポイント低下の44.9だった。製造業の新規求人減少が目立つという。
2〜3カ月後を占う先行き判断指数は45.6と、前の月から2.8ポイント低下した。家計動向、企業動向、雇用、いずれも低下した。特に企業関連や雇用では「米中貿易摩擦をはじめとする世界経済の不透明感が影響している」(内閣府)という。内閣府はウオッチャーの先行きの見方について「海外情勢等に対する懸念がみられる」とした。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
2019/6/10 15:03
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL10HYG_Q9A610C1000000/