48VエコシステムはクルマからITや通信機器へ、降圧技術で競争激化
大分大学 エネルギーと暮らしの総合研究センター 西嶋仁浩氏
伊藤 元昭=エンライト 2017/06/21 05:00
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/feature/…/060200101/00003/
【3 / 9 ページ】
■ストロングハイブリッドは日本の特産品、今後は液晶テレビの二の舞も
ストロングハイブリッド車は、エンジン駆動部と電動部の仕様や技術をかなり密に擦り合わせて開発する必要があります。
電気自動車時代の到来が見えている現在、今からストロングハイブリッド車の開発に新たなリソースを投入できる企業は日本以外にはないでしょう。
ストロングハイブリッド車は日本の特産品なのです。
欧州自動車メーカーにとってのマイルドハイブリッド車の位置付けは、日本のストロングハイブリッドへの対抗策であり、
電気自動車が主流になるまでのつなぎです。それとて開発負担が重くては導入に踏み切れません。
導入がしやすい標準化された48Vシステムには、戦略的な価値があるのです。
さらに、標準化しておけば、欧州メーカーだけではなく、中国など新興国のメーカーも導入しやすくなります。
これによって、自動車メーカー間、サプライヤー間での競争原理も働きやすくなり、価格的にも魅力的な製品になると予想されます。
【1 / 9 ページ】
48Vシステムは、トヨタのプリウスのようなストロングハイブリッドシステムのバッテリー電圧(約200V)よりもはるかに低電圧である。
その一方、自動車用補機向けで一般的な鉛蓄電池のDC12Vよりも高電圧だ。
このため、比較的安全に扱えるうえに、鉛蓄電池向けに比べてより出力が大きなアクチュエーターや負荷が大きい電子機器への給電に適する。
データセンターのサーバー、産業機器やロボットなど、これから急激に成長していく自動車以外の応用市場で、そのメリットを生かせる可能性が高い。
48Vシステムのメリットはこれまでもよく知られていたが、低コストかつ効果的に活用するためのエコシステムが整っておらず、実際の用途は限られていた。
48Vシステムを構成するための半導体や電子部品は、長い間幅広い用途で実績がある12Vシステム用に比べて選択肢が限られ、価格も高価だったのだ。