2015年3月19日(木)しんぶん赤旗
降格・降級処分は無効 札幌地裁 東京海上日動に命令 不払いが争点
「保険金不払い隠しの責任を押しつけられた」として東京海上日動の男性社員
が同社に降格・降級処分の取り消しを求めた裁判で18日、札幌地裁(本間健
裕裁判長)は「裁量を逸脱した人事権の乱用」だとして処分の取り消しと賃金
の差額分の支払いを同社に命じる判決を出しました。訴えていたのは、同社の損害保険の支払い部門で課長代理だった男性。
男性は社内の総合評価で最上位の「S」やその次の「A+」を得ていました。ところが、同社は2006年度の評価で、説明がないまま男性を「B
」とし、さらに最低の「D」にした上で10年に男性を主任に降格。さらに
5年間で2度の異動を命じていました。
これまでの裁判などで同社は、男性の06年当時の上司が作成した報告書を
証拠提出。報告書は、男性が書類を誤廃棄したことで、多数の不払いが発生
したとしていました。男性は、誤廃棄の事実はなく、報告書を作成した上司
自身が、不払いの組織的な隠ぺい工作を指示していたと主張していました。
隠ぺいを指摘された同社側は、不払い問題を争点から外し、男性の勤務態度
を処分理由と主張していました。これに対し判決は「十分な根拠を欠く不当
な評価」だったと同社の主張を退けました。