2004/02/10
日露戦争・対露宣戦布告100年 日本の暗号を事前解読−公文書発見
http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20040210&j=0026&k=200402105414
【モスクワ9日共同】十日に対露宣戦布告から百周年を迎える日露戦争で、日本が戦争に踏み切る意図を示す
暗号電報をロシアが開戦前に解読しながら、十分な検討を怠り、日本海軍の奇襲を許していたことが、このほど
ロシアで見つかった公文書で分かった。ロシアが日本の暗号を解読したのは、これまで開戦後とみられていた。
この公文書は、旅順のロシア極東総督府外交部からサンクトペテルブルクのラムスドルフ外相に送った日本の
外交電報の解読文を含む報告書。稲葉千晴・名城大助教授(国際関係論)が、モスクワのロシア帝国外交資料館
で発見した。
電報は小村寿太郎外相が、ロシア占領下にあった清国領・牛荘の瀬川浅之進領事に一九〇四年一月七日付
で送った。小村外相は「陸軍省が軍事情報の収集のため、牛荘で二人の外国人を雇う。開戦による貴官の召還
を考慮、二人の外国人を雇う必要がある」と英語で伝えている。
日本は当時、同盟国の英国の暗号コードを使用、外交電報も英語だった。ロシアは開戦前にコード表を入手
していたことになる。
電報は日本の開戦意図を明確に示しているが、一カ月後の二月八日から九日にかけ、旅順と仁川で日本海軍
が公式の宣戦布告前に仕掛けた奇襲をロシアは防げなかった。
稲葉助教授は、日露戦争緒戦の日本の勝利に大きく貢献した奇襲の成功は「日本を軽視、電報を解読しても
正しく対処しなかったロシアの油断があったため」とみている。