矢野氏が部屋の主だった7月までの1年、財務省主計局長室には、入室者が目にする位置に3枚の遺影が飾られた。
政府税調会長などを歴任した財政学者の石弘光氏、与謝野馨元官房長官、香川俊介元財務次官の各氏。
いずれも途方もない財政赤字の立て直しへ奔走し、志半ばで世を去った。
「財政に甘い職員の背筋を伸ばしてもらい、財政と格闘する職員の背中を押してもらう」。
矢野氏が故人の写真に込めた願いだ。
主税局長から主計局長に転じた後、コロナ対策で野放図となりがちな予算査定ににらみをきかせた。
昨年末、官房長官秘書官として仕えた菅義偉首相が脱炭素促進への新設基金を2兆円に倍増するよう求めたのに面前で異を唱え、「そんな話聞かねえ」と怒声を浴びせられたこともあった。
今年に入って「Go To トラベル」全国再開の動きや、通常国会閉会間際での駆け込み的な補正予算編成論へのブレーキ役を果たすなど、「直言居士」としての存在感は高まっている。
新次官がさっそく背負うのは、コロナ禍で積み上がった国債の山だ。
昨年度の新規国債発行額は112兆円超となり、リーマン・ショック後の経済対策に費やした09年度をはるかに超える空前の規模となった。
霞が関省庁などでは「ワニの上あごが外れた」などとささやかれている。
(以下略、全文はソースにて)
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