0001名無しで叶える物語(王都図書館司書室)@無断転載は禁止2017/05/02(火) 00:02:02.18 ID:Jo25UzyZ
【穂むら】
穂乃果「雪穂ー!お茶ー」
雪穂「えー?また?…たまには自分でやってよ…」
穂乃果「雪穂がいれてくれるお茶が一番おいしいよ♪」
雪穂「うちのお茶は誰がいれても美味しいって。…しょうがないなー」
ことり「でも、ホントに穂乃果ちゃんちのお茶って美味しい♪」
穂乃果「和菓子にはやっぱりお茶だよね!いろんな種類のお菓子にあわせて、うちはお茶にもこだわってるから…」
海未「抹茶を使う和菓子のために…ですか?」
穂乃果「もちろん、それもあるよ。見た目は同じように見える抹茶でも、品質の良し悪しで味も香りも、日保ちまで全然違ってくるから」
ことり「でも普通に飲んでるお茶は抹茶じゃないよね?」
雪穂「うん。基本的に普段飲んでるお茶は煎茶。こういう葉っぱのお茶だよ」カポ
穂乃果「狭山、掛川、宇治茶もあるよ♪」
海未「和菓子に合うお茶なら玄米茶もありますが…」
穂乃果「そうだね。売ってる玄米茶は煎茶や抹茶が最初から混ぜてある物が多いけど…」
雪穂「ただ、抹茶や煎茶と玄米茶では、それぞれ抽出にかかる時間に差があるから…」
穂乃果「淹れるタイミングで香りも味も見た目も変わっちゃうんだよねー」
ことり「じゃあ、もしかして最初から混ぜてあるより…いっそ抽出してから混ぜたほうが良かったりする?」
雪穂「まあ、好みの個人差もあるし…違いを楽しむくらいでいいんじゃないかな」
穂乃果「とりあえず今日は普通の煎茶!」
雪穂「はいはい」
海未「普通とは言いますが、かなり高級なお茶ですよね?」
穂乃果「品質の良さは言うまでもないけど、実はお値段は結構お買い得なの♪」
雪穂「そうそう。たとえば実際に静岡に行って産地で茶葉を買えば…500グラムで200円くらいのお茶が、東京で100グラム千円するお茶より美味しかったりするんだよー」
ことり「そ、そんなに違うんだ…」
海未「それで、この味…とても安いお茶とは思えませんね」
穂乃果「うん。…でもね」
ことうみ「?」
穂乃果「抽出したお茶の美味しさの寿命は短いから…たとえば朝いれたお茶を水筒に入れて学校に持って行くでしょ?」
ことり「あ、そういえば…お弁当持ってくるようになってから、穂乃果ちゃんお茶飲んでるよね」
雪穂「お昼までに飲むならいいけど、もし夕方の練習の後に水筒のお茶を飲むとしたら…」
0002名無しで叶える物語(王都図書館司書室)@無断転載は禁止2017/05/02(火) 00:05:32.65 ID:Jo25UzyZ
穂乃果「朝と同じお茶とは思えないほど劣化してたりするの…暑い日に冷蔵庫に入れなければ最悪お昼には腐ってる!」
雪穂「まあ、保冷剤とか使えばお昼までは何とか…」
海未「…なるほど。淹れたては美味しくても、その美味しさは長続きしないのが悩みの種というわけですか」
ことり「ペットボトルのお茶を買うんじゃダメなの?…最近は結構美味しいのもあるって聞くけど」
穂乃果「うーん。普段おいしいお茶を飲んでると正直きついかな…そのへんのお店で普通に買えるペットボトルのお茶の中で、本当に美味しいって言えるものは種類が少なすぎるし」
ゴク
ことほのうみゆき「ふー」
穂乃果「というわけで…ことりちゃん!」ギュ
ことり「え?…な、なに?穂乃果ちゃん」
穂乃果「外出先でも一年中、美味しいお茶を飲める方法を考えてくれない!?」
海未「そんなことができるのですか…?」
ことり「んー」
穂乃果「だ、ダメかなぁ?」
ことり「…いいよ。やってみる♪」
【四月・音ノ木坂】
穂乃果「ひゃぁ!?」ガバッ
ことり「大丈夫?穂乃果ちゃん…」
穂乃果「ことりちゃん…あれ、ここ保健室…」
『私の…輝かしい高校生活が…』ガクッ
ことり「はい、穂乃果ちゃん。お茶」
穂乃果「ありがと…」ゴク
穂乃果「!…美味しい…これって、もしかして…?」
ことり「うん♪」
穂乃果「完成したんだ!?」
0003名無しで叶える物語(王都図書館司書室)@無断転載は禁止2017/05/02(火) 00:07:52.39 ID:Jo25UzyZ
【中庭】
絵里「そう…ありがとう」
希「ほなー」
穂乃果「あ、あのっ…生徒会長さん!」
絵里「?」
穂乃果「このお茶、飲んでみてください!」
絵里「それで廃校を阻止できるの?」
穂乃果「え」
絵里「…悪いけど、今そんな気分じゃないの」
スタスタ
穂乃果「…行っちゃった」
海未「穂乃果…生徒会長にお茶をすすめてどうするつもりだったんですか?」
穂乃果「どうするっていうか…生徒会長さん、難しい顔してたから。美味しいお茶を飲んで、ほっとひと息ついてくれたらって思っただけだよ」
ことり「ふふふ。穂乃果ちゃんらしい」
海未「まあ…冷静にならなければ、いい考えも浮かばないというのはあるかもしれませんね」
【翌朝・秋葉原】
にこ「学校で結成されたアイドルよ。聞いたことないの?」
穂乃果(へー。スクールアイドル…)
穂乃果「あ。よかったら、このお茶どうぞ」
にこ「ありがと」ゴク
にこ「美味しい…これって、家でいれたお茶?」
穂乃果「はい♪」
にこ「…」カチャ
にこ(香りもいいし、色も透明感のある、それでいて鮮やかな緑)
穂乃果(サングラスとマスクを外したら…可愛い女の子だった)ジーッ
にこ「…高そうなお茶ね」
穂乃果「お値段はそうでもないですよ。でも品質は保証します♪」
にこ「ふーん…」
\♪キャナイドゥーアイテーキベービ/
0004名無しで叶える物語(王都図書館司書室)@無断転載は禁止2017/05/02(火) 00:10:21.50 ID:Jo25UzyZ
花陽「わあ、ホントに美味しい…」
凛「どこのお茶ですかー?」
穂乃果「これは掛川茶だよ♪」
にこ「なんだか落ち着くわね…」
花陽「そうですね…」
凛「って、のんびりお茶飲んでたら遅刻しちゃうよー!><」
にこ「これだ…見つけた!」
ほのりんぱな「えっ」
【音ノ木坂】
にこ「部室でお茶いれて飲んでみたんだけど、これがとてつもなくマズくてね…」
穂乃果「東京で作ってるティーバッグのお茶ですね…聞いたこともないメーカーだなぁ」
凛「お茶の香りがほとんどしないよー」
花陽「味は薄いのに、ノドに刺さるような渋みが…」
にこ「これだったらペットボトルの水でも飲んだほうがいいわよね…あんたの茶葉を少し分けてくれない?」
穂乃果「茶葉は家に帰らないと無いですよ」
にこ「じゃあ、あんたん家に行くわよ」
穂乃果「そこまで!?…あの、私も今日ちょっと用事があるんですけど…」
にこ「あんたがスクールアイドルねえ…」
穂乃果「だ、ダメですか…?」
にこ「いや、別にいいんじゃない。そういうことなら私が面倒みてあげるわよ」
穂乃果「えっ」
凛「先輩が…」
花陽「音ノ木坂のスクールアイドル!?」
凛「ただのヲタクの人じゃなかったんですねー?」
花陽「すごいアイドルヲタクだと思ってたけど…」
にこ「うっさい。…何ならあんたたちも私のアイドル研究部に入れてやってもいいわよ」ドヤァ
花陽「えぇ!?…わ、私は…」モジモジ
凛「凛は遠慮しときます」
にこ「…あっそ」
0005名無しで叶える物語(王都図書館司書室)@無断転載は禁止2017/05/02(火) 00:13:09.13 ID:Jo25UzyZ
穂乃果「も?」
にこ「どうせ、あんた一人じゃスクールアイドルなんてできないでしょ。部活を新しく作るには五人必要なんだから」
穂乃果「五人…」
にこ「私のアイドル研究部は正規の部活動だから。あんたが入れば、すぐにスクールアイドルとして活動できるわよ」
穂乃果「ホントですか!?」
【生徒会室】
絵里「…部員名簿の更新?」
希「あなたが新入部員?」
穂乃果「は、はい。今日からスクールアイドルの高坂穂乃果です!」
にこ「気が早いわよ。そういうことは、まともに練習してから言いなさいっての」ペシ
穂乃果「いたっ><…まずいお茶で叩かないでよー!」
希「にこっち…活動再開するん?」
にこ「当たり前よ。私を誰だと思ってんの?」
絵里「…」
穂乃果「あ、あのー。生徒会長さん」
絵里「…なに?」
穂乃果「このお茶、飲んでみてください」
絵里「またそれ?…どうして私が…」
希「まずいお茶とか言ってなかった?」
にこ「これは私が(タダで)仕入れた、やっすいティーバッグよ。高坂のお茶はこんなのとは全然違うから。飲んでみなさいよ」
絵里「…わかったわ」
穂乃果「副会長さんも、どうぞ♪」
希「ありがと。いただきます…」
のぞえり「…」ゴク
にこ「どーよ?」
希「これは…」
絵里「…おいしい」
希「ペットボトルやティーバッグの味やないね」
穂乃果「家でいれたお茶ですよ」
0006名無しで叶える物語(王都図書館司書室)@無断転載は禁止2017/05/02(火) 00:22:25.07 ID:Jo25UzyZ
絵里「これが、お茶?…日本茶って苦いとか渋いとか、そういう物じゃないの?」
にこ「やっすい茶葉はそうでしょうよ」
穂乃果「安くても美味しい茶葉はありますよ。加工や抽出の仕方でも味は変わります」
希「特に新茶は甘みがあって渋味が少ないっていうけど…淹れてから時間が経っても、こんなに美味しいものなん?」
穂乃果「ふふふ…そこは企業秘密です♪」
絵里(ほっとするっていうか…気持ちが安らぐような、不思議なお茶ね)
にこ「つーわけで、もう一度…スクールアイドルやるわよ!」
絵里「…それで廃校を阻止できるの?」
にこ「できるわよ」
穂乃果「はい。このお茶があれば…!」
のぞえり「!」
にこ「いや、お茶じゃなくてスクールアイドル」
希(エリちに今必要なんは…これかもしれない)
海未「お断りします」
穂乃果「え?…いやいや、そうじゃなくて私と一緒にスクールアイドル…」
海未「ですから、お断りします。私は弓道部がありますし」
穂乃果「そ、それはそうだけど…じゃあ、ことりちゃんは?」
ことり「歌やダンスよりも、作りたい物があるし…ごめんね。穂乃果ちゃん」
穂乃果(ことりちゃんは空き教室をアトリエにして何かの研究をしてるみたい…私のお茶も、ことりちゃんのおかげでいつでも美味しく飲めるようになったけど)
【穂むら】
にこ「ま、私とあんたがいればとりあえず何とかなるでしょ」パク
穂乃果「でも、まだ歌う曲もないんですよ…私、作曲なんてできないし」
にこ「あいつらにも声かけてみるか…」モグモグ
【翌朝】
にこ「はぁ!?あんた何考えてんのよ!まだ何も決まってないのに…」
穂乃果「それはそうですけど、とりあえず借りるだけ借りておいたほうがいいでしょ?決めてから場所が無いってことになったら困るし」
0007名無しで叶える物語(王都図書館司書室)@無断転載は禁止2017/05/02(火) 00:24:09.03 ID:Jo25UzyZ
【生徒会室】
絵里「まさか、本当にやるつもりなの?」
にこ「当たり前よ」
絵里「高坂さんはどうなの?…目的はともかく、スクールアイドルである必要は?」
穂乃果「えっ」
にこ「どういう意味よ?」
希「エリちは生徒会に高坂さんが欲しいんやって♪」
穂乃果「えぇ!?」
にこ「はぁ!?」
絵里「わ、私は言ってないわよ。希が勝手に…」
希「でも、高坂さんが淹れてくれるお茶が毎日飲みたいって言ってたやん?」
穂乃果「そ、そうなんだ…えっと、飲みますか?」
絵里「ええ…ありがとう」
ゴク
絵里「ふー」
穂乃果「えへへ。おいしいですか?」
絵里「と、とにかく…新入生歓迎会は遊びではないのよ。…ちゃんとできる状態になるまでは、むやみに宣伝するのはどうかと思うけど」
にこ「…宣伝?」ジトー
穂乃果「ぎくっ」
パタン
にこ「何がとりあえず借りるだけよ。日付入りで告知しちゃってるじゃない!あほのか!」
穂乃果「だ、だって…せっかくことりちゃんが可愛いイラスト描いてくれたんだし」
にこ「あー、もう!とにかく、まずは曲を何とかするわよ!」
キーンコーンカーン…
ほのにこりんぱな「ふー」
凛「このお茶、ホントに美味しいにゃ♪」
花陽「そうだね…」
にこ「…んで、あんたたち作曲はできないの?」
凛「凛はそういうのはちょっと…」
花陽「えーと…できそうな人なら知ってる…かも」
0008名無しで叶える物語(王都図書館司書室)@無断転載は禁止2017/05/02(火) 00:27:26.81 ID:Jo25UzyZ
(・8・)
0009名無しで叶える物語(王都図書館司書室)@無断転載は禁止2017/05/02(火) 00:27:57.59 ID:Jo25UzyZ
【屋上】
真姫「できますよ!…ただ、やりたくないんです。そんなもの…」
穂乃果「えーと…お茶、飲む?」
真姫「興味ないです!」
バタン
にこ「絢瀬より手強いわね」
穂乃果「おいしいのに…」
にこ「何となく日本茶のイメージがないっていうか、背伸びしてブラックコーヒーなんか飲んでそうじゃない?」
穂乃果「背伸び?」チラ
にこ「…何?」
穂乃果「な、何でもないです…アハハ」
にこ「でも困ったわね。唯一のアテが無くなったら…この私が隠れた才能を発揮して直々に作曲するしかないわ」
穂乃果「後で、もう一度頼んでみようかな。西木野さんに」
にこ「あ、そう…」
【音楽室】
穂乃果「はい、お茶」
真姫「…いつも持ち歩いてるんですか?」
穂乃果「おいしいお茶を飲むと落ち着く気がしない?」
真姫「私は誰かさんにつきまとわれて落ち着かないんですけど」
穂乃果「うぐっ…ごめんなさい」
真姫「…お茶の香りがするわね」
穂乃果「まあ、お茶だし…」
真姫「ちゃんとしたお茶だからでしょ?」ゴク
穂乃果「おいしい?」
真姫「…曲」
穂乃果「えっ」
真姫「思いつきそうだけど」
穂乃果「やってくれるの!?」
真姫「気が散るわ」
穂乃果「う…じゃ、じゃあ私はもう行くね」
0010名無しで叶える物語(王都図書館司書室)@無断転載は禁止2017/05/02(火) 00:31:19.29 ID:Jo25UzyZ
真姫「冗談ですよ。もう夕方だし…私も帰るわ」
穂乃果「西木野さーん…」
真姫「お茶、ごちそうさま」
穂乃果「あ、うん」
穂乃果(お茶は気に入ってくれた…のかな?)
【穂むら】
海未「絶対に嫌です!」
穂乃果「そんなー!海未ちゃんは音ノ木坂が廃校になってもいいの!?」
海未「それとこれとは話が別です!」
にこ「あっそ。なら作詞は高坂にやらせるからいいわ。それよりメンバーが足りないのよ」
穂乃果「そ、そうだよ。せめて私たちと一緒に…」
『おまんじゅう うぐいすだんご もうあきた!』
海未「ちょ、ちょっと待ってください。…穂乃果に任せて大丈夫なんですか?」
穂乃果「え?」
海未「…」ゴク←お茶
穂乃果「海未ちゃん?」
海未「はぁ…わかりました」
ほのにこ「えっ」
海未「やりましょう。…ただし、本気で廃校を阻止するつもりなら、ライブまでの練習メニューは私が決めます」
穂乃果「メニューって…ごはん?」
海未「違います。ライブに向けての練習です!」
にこ(これで三人…曲も歌詞も何とかなりそうね)ホッ
【翌朝・神田明神】
ドタバタ
海未「二人とも、ペース落ちてますよ!」
穂乃果(そんなこと言われても…)ハァハァ
にこ(…し、死ぬ)ゼーハー
0011名無しで叶える物語(王都図書館司書室)@無断転載は禁止2017/05/02(火) 00:34:10.77 ID:Jo25UzyZ
【音ノ木坂】
絵里「おはよう。高坂さん…大丈夫?」
穂乃果「だ、大丈夫です…まだ、なんとか」
絵里「お茶、やっぱり淹れたては格別ね♪」
穂乃果「そうですか…喜んでもらえてよかったです…」
絵里「…本当に大丈夫?」ナデナデ
穂乃果「わ」
絵里「きついようなら無理しなくても…高坂さんには生徒会のほうが向いてるんじゃないかしら?」
穂乃果「い、いや…私、成績もよくないし。お茶いれるくらいしかできないかも…」
希「勉強ならエリちが教えてくれるやろ?」
絵里「ええ。私でよければ♪」
にこ「ちょっと。高坂はうちの部員よ。横取りしないでくれる」ギュ
穂乃果「矢澤先輩///」
にこ「にこでいいわよ」
穂乃果「にこ先輩もお茶飲みますか?」
にこ「ん、ありがと」
のぞほのえりにこ「ふー」
穂乃果(平和だなぁ…って、ここでお茶飲んでていいのかな)
ことり「お茶には疲労回復効果があるから、きつい練習の後にはちょうどいいかもね」
穂乃果「そっか」
海未「それより…ことり。そのスケッチブックは…」
ことり「うん。三人のライブのためのステージ衣装を考えてみたの♪」
にこ(これで衣装も大丈夫ね。あとは練習あるのみ…園田のおかげで死ぬほどきついけど)
にこ「…ちょっと待って。この衣装って三人色違いよね?」
ことり「はい。そのほうがカラフルで可愛いかなって♪」
穂乃果「うん!私も賛成♪なんかアイドルって感じだよね♪」
にこ「それはいいんだけど…穂乃果がピンクなの?」
ことり「そのつもりですけど…」
にこ「ぬぁんでよ。ピンクはリーダーの私に相応しい色でしょ?」
海未「矢澤先輩がリーダーなんですか?…てっきり穂乃果だと…」
0012名無しで叶える物語(王都図書館司書室)@無断転載は禁止2017/05/02(火) 00:37:24.80 ID:Jo25UzyZ
にこ「私は唯一の経験者で先輩なんだから当然でしょ。百歩譲って高坂がリーダーでもセンターは私よ!」
穂乃果「センターって…後ろの方のフェンス際を守ってる人だよね?」
海未「それは野球のセンター(中堅手)ですね」
にこ「じゃなくて、アイドルグループのセンターヴォーカルに決まってんでしょ!」
ことり「はい、お茶です♪」
にこ「ありがと」ゴク
ことほのうみにこ「ふー」
にこ「…まあ、穂乃果も私の次くらいに可愛いし、似合うと思うけど」
穂乃果「…穂乃果?」
にこ「そう呼んでもいいでしょ?穂乃果」
穂乃果「はい♪」
にこ「仕方ないわねー。今回だけピンクはあんたに譲ってあげるわよ」
穂乃果「はあ。ありがとうございます…」
ことり「ふふふ」
海未「そ、それよりスカートの丈が──」
【後日】
穂乃果(毎日続けてるから、少しずつ練習には慣れてきた…けど)
穂乃果(ライブまで日数もあまりないし、実質休養日は無し…さすがに疲れが溜まってくる)
絵里「高坂さん。お茶を淹れてくれるのは嬉しいけど、疲れてるなら無理しないほうが…」
穂乃果「え…?」ガツッ
バシャ
絵里「高坂さん!」
穂乃果「っ…!(やっちゃった)」
グイ
穂乃果「わぁ!?…ちょっ、生徒会長さん?///」
絵里「静かにして」
希「ほい」ガチャ
絵里「ありがとう」ダッ
穂乃果「お、大袈裟ですよ(…抱っこなんて///)」
絵里「火傷はすぐに冷やしたほうがいいわ。…あなたはアイドルでしょ」
0013名無しで叶える物語(王都図書館司書室)@無断転載は禁止2017/05/02(火) 00:44:07.53 ID:Jo25UzyZ
ジャー
穂乃果「あの、ありがとうございました。生徒会長さん…ごめんなさい。お茶、こぼしちゃって」
絵里「もう希が拭いてくれたと思うわ。気にしないで」ナデナデ
穂乃果「でもお茶、淹れ直さないと…」
絵里「高坂さん、練習で疲れてるんでしょう。危ないから無理しないで」
穂乃果「だ、大丈夫です。今ので目が覚めました」
絵里「あなたの大丈夫はアテにならないわね」ハァ
穂乃果「…ごめんなさい」シュン
絵里「いえ…廃校の件は私たちが何とかしなくちゃいけないのに、あなたに負担をかけてしまっているから…それさえ無ければ、迷わずあなたを生徒会に迎えられるのに」
穂乃果「私、そんなに役に立ちませんよ?」
絵里「あなたがいるのといないのとでは全然違うわ。…正直、矢澤さんがうらやましい」ギュ
穂乃果「生徒会長さん///」
パタン
穂乃果「お茶も種類によって抽出の適温が違うんです。熱湯で淹れる物から、冷ましたお湯を使う物、水出し、氷出しまで…」
のぞえり「へー」
絵里「氷出しって、どういうこと?」
穂乃果「氷が溶けるときの水滴で、ゆっくり、じっくり抽出する方法です。ものすごく時間かかりますけど…」
希「手間をかけた分おいしいお茶になりそうな感じがするね」
にこ「穂乃果!…やっぱりここにいたのね」
穂乃果「あ。にこ先輩…」
にこ「ちょっと来なさい」グイ
穂乃果「わ。行きますから、引っ張らないでー!><」
ドタバタ
穂乃果「いてて…」
にこ「穂乃果…手、ケガでもしてるの?」
穂乃果「ちょっとドジっちゃって、熱いお茶をこぼしただけです」
にこ「気をつけなさいよ。アイドルなんだから…」
穂乃果「あ、生徒会長さんと同じこと言ってる」クス
にこ「…」
穂乃果「にこ先輩?」
0014名無しで叶える物語(王都図書館司書室)@無断転載は禁止2017/05/02(火) 00:47:11.58 ID:Jo25UzyZ
(・8・)
0015名無しで叶える物語(王都図書館司書室)@無断転載は禁止2017/05/02(火) 00:48:21.47 ID:Jo25UzyZ
にこ「穂乃果。あんた本当に生徒会に入るつもり?」
穂乃果「いやぁ、私には向いてないですよ。何かわからない大量の書類とか見てたら絶対寝ちゃいます」
にこ「そーね。あんた授業中も寝てるって話だし」
穂乃果「うぐっ…海未ちゃんに聞いたんですか?」
にこ「企業秘密よ♪」
穂乃果「にこ先輩の家はお店じゃないでしょ?」
にこ「まあ、穂乃果はお店の手伝いもして練習もあるんだからしょうがないけど…」
穂乃果「でも、生徒会長さんって素敵だなぁ♪」
にこ「…好きなの?絢瀬のこと」
穂乃果「え?…はい。生徒会長さんも副会長さんも優しいし」
にこ「そうじゃなくて…たとえば、私より絢瀬のほうが好きかってことよ」
穂乃果「そんなこと…比べられないですよ」
にこ「ぬぁんでよ。私とは同じグループの仲間でしょ?あいつは私らの活動にケチつけてる部外者じゃない」
穂乃果「ケチって…厳しいことは言われますけど、別に邪魔してるわけじゃないし」
にこ「穂乃果にとって絢瀬は特別ってことなんじゃないの?」
穂乃果「別に生徒会長さんだけってわけじゃ…私、にこ先輩も好きですよ♪」
にこ「そんな、狭山も掛川も好きみたいに軽く言ってくれちゃって…」
穂乃果「今日のは宇治茶です。飲みますか?」
にこ「…はっきり言っておくけど」ギュ
穂乃果「え。…にこ先輩?」
にこ「絢瀬なんかに渡さない。穂乃果、あんたは私のそばにいればいいの」
穂乃果「そ、それって…///」
希(…ふーん)クス
【高坂家】
トプン ザバー
ほのゆき「ふー」
『絢瀬なんかに渡さない』
穂乃果(あんなこと…初めて言われた///)ドキドキ
『…正直、矢澤さんがうらやましい』
穂乃果(でも、やっぱり生徒会長さんも素敵だよね♪)
0016名無しで叶える物語(王都図書館司書室)@無断転載は禁止2017/05/02(火) 00:52:48.24 ID:Jo25UzyZ
雪穂「お姉ちゃんってば。…聞いてる?」
穂乃果「え。な、なに?雪穂」
雪穂「ボーッとしちゃって…大丈夫?」
穂乃果「アハハ…そういえば生徒会長さんにも、私の大丈夫はアテにならないって言われちゃった」
雪穂「ふーん…もしかして、その人のこと考えてたの?」
穂乃果「え。…ま、まあ…別に、生徒会長さんだけってわけじゃないけど」
雪穂「欲張りなんだ。お姉ちゃんは誰が好きなのよ?」
穂乃果「そんなこと…みんな同じくらい好きだよ。ことりちゃんも海未ちゃんも…あと」
『私のそばにいればいいの』
穂乃果「…///」
雪穂「みんな好きって、お姉ちゃんらしいけど…でもさ」
穂乃果「なに?」
雪穂「みんなと同じ関係ってわけじゃないでしょ。かりに、その中の誰かがお姉ちゃんの恋人になったとしても、お姉ちゃんの妹は私だけだし」
穂乃果「こ、恋人!?」
雪穂「いや、なりたくないなら別にいいんだけど」
穂乃果(好きな人かぁ…)
穂乃果「ねえ、雪穂。今日は一緒に寝ようよ。まだ夜は結構冷えるし…」
雪穂「お姉ちゃん…いいけど///」
穂乃果「えへへ。雪穂ー♪」ギュ
雪穂「も、もう。くっつき過ぎだよ///」
穂乃果(恋人とかじゃなくていいから…まだ、みんなと一緒がいいな)
【4月28日】
雪穂「え?クッキー?…うちは和菓子屋だよ」
ほの母「商品じゃないからいいの。余った小麦粉と新茶で簡単にできるし」
穂乃果(掛川や宇治の新茶は四月末には届くんだよね。狭山茶は来月だけど)
雪穂「見事な緑色だね」
ほの母「和菓子を買ってくれたお客様に、ちょっとしたオマケとして配るのよ」
雪穂「でも前のあんこ入りチョコは不評だったよね…」
穂乃果(オマケかぁ…あ、そうだ)
0017名無しで叶える物語(王都図書館司書室)@無断転載は禁止2017/05/02(火) 00:56:08.32 ID:Jo25UzyZ
【五月一日】
ヒデコ「μ'sのライブ、四時からでーす!」
フミコ「新茶と、抹茶クッキーのサービスもあります!」
にこ「私たちはアイドル研究部よ。いつからお料理クラブになったのよ?」
穂乃果「アハハ…まあ、ちょっとでも来てくれる人が増えたらいいなって」
【講堂】
凛「クッキーおいしいにゃ♪」サクサク
花陽「お茶も美味しい♪」
真姫「ライブ始まるわよ」
ことり「穂乃果ちゃーん♪」フリフリ
のぞえり「…」
海未「なんとか…誰もいない畑で歌うという事態は避けられましたね」
にこ「畑?」
穂乃果「よーし、頑張ろう!」
穂乃果「いち」
にこ「に」
海未「さん」
\アイセー♪/
絵里「どうするつもり?」
にこ「どうするも何も…穂乃果は私のよ。生徒会にはやらないって言ったでしょ」ギュ
穂乃果「にこ先輩///」
花陽「素晴らしいですっ」キラキラ
真姫「イミワカンナイ」
絵里「…高坂さんはそれでいいの?」
穂乃果「えーと…お茶のサービスはしますから。たまにお菓子も…」
絵里「わかったわ。…でも、気が変わったら言って頂戴。いつでも待ってるから」
希「ほなー」
にこ「おととい来なさいってのよ」ベー
凛「凛たちも帰るにゃー」
花陽「うん」
0018名無しで叶える物語(庭)@無断転載は禁止2017/05/02(火) 00:56:55.61 ID:sfM4YABT
支援
0019名無しで叶える物語(王都図書館司書室)@無断転載は禁止2017/05/02(火) 00:57:28.70 ID:Jo25UzyZ
穂乃果「…でも、逆に」
海未「何が逆なんです?」
穂乃果「生徒会長さんが…μ'sに入ってくれたらいいのに」
にこ「はぁ!?…あいつがスクールアイドルなんてやるわけないでしょ!」
海未「私たちだけというより、スクールアイドル自体を嫌っているような感じでしたし…」
穂乃果「でもライブに来てくれたよ。いつも私たちのこと気にかけてくれてるし」
にこ「穂乃果を狙ってるだけでしょ。隙あらば生徒会に引き抜こうって」
穂乃果「そうかなぁ…」
【翌日】
穂乃果「え。お茶の栽培ですか!?」
絵里「そう。音ノ木坂の敷地内に茶園を作る計画よ」
穂乃果「で、でも…確かお茶の木って、茶葉を収穫できるまで四、五年くらいかかるんじゃ…」
希「まあ、普通にやったら今の一年生も卒業した後やね」
海未「廃校を阻止しないと不可能ということになりますが…」
絵里「もちろんよ。廃校は絶対に阻止する必要がある」
ことり「お茶の木のことは、私と穂乃果ちゃんと…それから」
花陽「は、はい。植物のお世話なら任せてください」
穂乃果「だ、大丈夫かなぁ?」
ことり「一番おいしいお茶は、やっぱりその年の新茶…春に摘む一番茶だよね」
穂乃果「うん。基本的に日本茶の旬は春だね」
ことり「フランス語で春はPrintempsっていうんだけど」
穂乃果「はあ。…なんでフランス語?」
花陽「それに植物のプラントもかけて、私たち三人のチーム名は…」
ことぱな「プランタン!」
穂乃果(…こうして、μ'sと同時進行で私はなぜかお茶の栽培計画にも参加することになり…)
亜里沙「やがて音ノ木坂は別名“お茶の木坂”とも呼ばれるようになりました。Хорошо♪」
おわり
0020名無しで叶える物語(王都図書館司書室)@無断転載は禁止2017/05/02(火) 01:03:11.63 ID:Jo25UzyZ
0021名無しで叶える物語(王都図書館司書室)@無断転載は禁止2017/05/02(火) 01:06:41.86 ID:Jo25UzyZ
0022名無しで叶える物語(王都図書館司書室)@無断転載は禁止2017/05/02(火) 01:07:58.06 ID:Jo25UzyZ
0023名無しで叶える物語(王都図書館司書室)@無断転載は禁止2017/05/02(火) 01:09:32.41 ID:Jo25UzyZ
0024名無しで叶える物語(王都図書館司書室)@無断転載は禁止2017/05/02(火) 01:11:41.46 ID:Jo25UzyZ
0025名無しで叶える物語(笑)@無断転載は禁止2017/05/02(火) 01:38:32.91 ID:ZQt/qs/Q
最後よくわからんけど面白かった
0026名無しで叶える物語(笑)@無断転載は禁止2017/05/02(火) 01:48:42.11 ID:ZQt/qs/Q
あげ
0027名無しで叶える物語(もんじゃ)@無断転載は禁止2017/05/02(火) 01:51:04.85 ID:US9KSLb/
結構すきだよ雰囲気
ジャンル違う気がするけど