亜里沙(お姉ちゃんが住んでる東の島国へ行くの。早くお姉ちゃんに会いたいな♪)
祖母「亜里沙。一人旅は危険だから、町で護衛を雇って連れて行きなさい」
亜里沙「町へ行くの?楽しみ!」
祖母「ふふふ。無駄遣いしちゃダメよ?」
亜里沙「はーい!」
亜里沙(村の南西に町があるの。あまり大きな町じゃなくて、村のほうが広いくらいだけど…それでも村にはないお店がいろいろあるし♪)
【町】
亜里沙(あっという間に着いちゃった…なんだかいい匂いがする)クンクン
穂乃果「おだんご、いかがですかー!」
亜里沙「オダンゴ?…ドミンゴ・グスマンと小田幸平のバッテリー?」
穂乃果「違うよ。…っていうか、そんな試合あったっけ?」
亜里沙「古すぎてわかりません…」
穂乃果「アハハ。だよね…十年以上も前だもん」
亜里沙「古いですか?」
穂乃果「おだんごは古くないよ。できたてホヤホヤ!」
亜里沙「じゃあください♪」
穂乃果「はい、毎度ー♪」
亜里沙「柔らかくて美味しい♪…これ、どこの国の料理ですか?」
穂乃果「日本だよ。私、日本から来たんだ」
亜里沙「ニッポン…って、東の島国!?」
穂乃果「そうだけど…」
亜里沙(穂乃果さんを連れて行くことにしたよ♪)
穂乃果「そっか。道案内は任せてよ♪」
亜里沙(島へ渡るには、街道を東へ進んで大陸の端まで行かなくちゃ)
穂乃果「ぼくらの、道があるー♪」
\レッツゴー!ドゥー!/
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亜里沙「島までって、どれくらいかかりますか?」
穂乃果「んー。途中で宿とかに泊まったりすることを考えると…五日くらいじゃないかな?」
亜里沙「え。そんなに遠いの…?」
穂乃果「この道だけでも、ものすごく長いよ。それを終点、つまり北の港町まで行くわけだし」
亜里沙「北?…東の島国へ行くんですよね?」
穂乃果「そうだけど、島への船に乗るならそこからのほうが早いし…東側へ抜けるのはもっと時間かかるよ。たぶん一週間くらい」
亜里沙「そ、そうなんだ…」
穂乃果「国境を二つ越えることになるからね。この道に沿った北回りのルートなら一つで済むんだ」
亜里沙「Хорошо」
穂乃果「そろそろ鳥さんが来るから気をつけて」
亜里沙「鳥さん?」
バササッ
チュン(・8・)チュン
亜里沙「わあ、きれいな鳥さん…」
チュン(^8^)チュン
穂乃果「ここは急いで駆け抜けよう!」ギュ
亜里沙「え?…で、でも」
(`・8・)おやつ!
亜里沙「えっ」
(`8´)おやつ!おやつ!
亜里沙「な、なに?おやつって言ってる…」
穂乃果「この鳥さん、逃げても逃げてもすごい勢いで追ってくるんだ…おやつをあげないと離れてくれないの」
亜里沙「亜里沙、おやつ持ってないです><」
穂乃果「はい。うぐいす餅あげるよ…」
(^8^)ホケキョ♪
穂乃果「さ、今のうちに急いで行こ。旅の食糧がなくなっちゃう」
亜里沙「は、はい」
ドタバタ
亜里沙「下り坂になってる…」
穂乃果「気をつけてね。この先は虫さんが出るから…」
亜里沙「虫さん?」
コロコロ
亜里沙(坂を下って平らになったところで何かが転がってきたよ)
亜里沙「な、なに?ボール…?」
こころ「目が回ります…」フラフラ
亜里沙「小さくて可愛い…あなたは虫さん?」
こころ「ココロ虫です」
穂乃果「丸くなってコロコロ転がるからココロムシっていうんだって」
亜里沙「へー」
穂乃果「早く行こ。この辺りは鬼さんが出るから…」
亜里沙「おに?」
海未「穂乃果!」
穂乃果「うわっ、もう出た!?」
海未「穂乃果!宿題は終わったのですか!?」
穂乃果「そんなのやってる場合じゃないよ。私たち、北の港町へ行くの!」
海未「旅行など宿題が終わってから行けばいいのです。まったく…」ガシッ
こころ「えっ」
海未「今日のところは見逃してあげますから、私がこの饅頭を食べている間に行きなさい」
こころ「わ、私はおまんじゅうじゃないです><」ジタバタ
亜里沙「ココロ虫さんが食べられちゃう!?」
穂乃果「お饅頭なら持ってるよ。これあげるから、ココロムシさんを食べちゃダメだよ」
海未「はあ。では、そちらをいただきます」
亜里沙「ココロ虫さん、今のうちに逃げて」
こころ「は、はい。ありがとうございます…」
コロコロココロ
亜里沙「転がって行っちゃった…」
穂乃果「私たちも先を急ごう」
ドタバタ
亜里沙「はぁ、はぁ…いろんな生き物がいるんだね…」
穂乃果「まだまだいるよ。ここから先は獣や花がいるんだ」
亜里沙「花が…いる?」
パカッパカッ
穂乃果「あっ、ほら。獣に乗ったお花が来たよ…」
アルパカ「メ゙ェェ」
花陽「こ、こんにちは…」
亜里沙「こんにちは。お花きれいだね♪」
花陽「あ、ありがとう…」
亜里沙「でも、なんだかアルパカさんはずいぶんやせてるような…?」
穂乃果「夏だからね。暑さで体調を崩さないように毛を短く刈ってるの」
亜里沙「へー」
花陽「お母さんにおみやげ買っていこうかな…」ジーッ
亜里沙「え?」
穂乃果「和菓子ならあるけど…」
亜里沙「お花さんってお金持ってるの?」
花陽「ううん。お金はないの。ごめんなさい…お花の種ならあるんだけど」
穂乃果「じゃあ、その種をこの桜餅と交換してくれる?」
花陽「う、うん。いいよ…ありがとう♪」
穂乃果「毎度ー♪えへへ。得しちゃった」
アルパカ「メ゙ェー」
パカッパカッ…
亜里沙「お花の種をどこに蒔くの?」
穂乃果「困ったときに蒔けばすぐにお花が咲くはずだよ。きっと役に立つと思う♪」
亜里沙「ふー。暑い…」
穂乃果「ここから先の道は林の中だから、もうすぐ日陰になると思うよ」
亜里沙「林には何がいるの?」
穂乃果「うーん。鳥さんも虫さんもお花や獣もいるしいろいろだけど…暑いから林の中にいる子たちはあんまり道のほうには出てこないんじゃないかな?」
ジリジリジリ…
亜里沙「セミさんがいっぱいいるね」
穂乃果「そうだねぇ…木があるところには生き物もたくさん集まるよね」
亜里沙「街道にいる生き物さんたちはどこへ向かうのかな?」
穂乃果「西の海とか、北の山じゃないかな?」
亜里沙「そういえば、村の近くにもいろんな動物さんがいるみたい」
穂乃果「そうだね。街道で会ったのはおとなしい子が多かったけど…山奥にはちょっと危険な生き物もいるよね」
亜里沙「穂乃果さんがいた島にはどんな生き物がいるの?」
穂乃果「島はこの辺りよりずっと暑いし、もっと深い森があるから珍しい生き物も多いよ」
亜里沙「へー」
穂乃果「林を抜けたら湖のそばに町があるから、そこで少し休んでいこうか」
亜里沙「うん」
亜里沙(湖畔を通って、道はさらに東へ続く。世界一大きい湖のそばに古い建物が並ぶ静かな町)
亜里沙「西の町よりは広くて建物も大きいね」
穂乃果「そうだね。水に浸かっても平気なように大きく頑丈に作ってるから、昔からずっと残ってるのかも」
亜里沙「そっか」
穂乃果「ちょっとお店とか見に行く?」
亜里沙「うん♪」
【ヒデ弓・湖畔店】
穂乃果「あれぇ?…いないや」
亜里沙「お休みなのかな?」
穂乃果「湖へ釣りにでも行ったんだと思うよ。店を開けっぱなしで行くなんて不用心だなぁ…」
亜里沙「もしかして、店員さんと知り合いなんですか?」
穂乃果「うん。ヒデコのお店なんだ。ヒデ弓(きゅう)湖畔店、略してヒデ湖」
海未「こ、これは…!」
穂乃果「わぁ!?…え、海未ちゃん?…いつの間に来てたの?」
亜里沙「さっきは街道に居たのに…」
海未「フフフ。林を抜けて穂乃果を追い越すくらい私には造作もないことですよ」
亜里沙「お買い物に来たんですか?」
海未「これを見てください。地上最強の飛び道具といわれる名品ですよ!」
穂乃果「普通の弓に見えるけど…」
海未「当たり前です。機能を重視した弓に派手な装飾など必要ありません。この素材だけでも安物とは全く違いますよ」
亜里沙「でも、お高いんでしょう?」
海未「確かに…これを手に入れるためには、今持っている弓でたくさん狩りをして稼がなければいけませんね」
穂乃果「ヒデコのお店だし半額くらいにまけてもらったら?」
海未「それでも足りませんし店主が居ないのではどのみち買えませんね。狩りにでも行くとしましょう…」
亜里沙「でもそんなに高い弓があるのに、お店開けっぱなしで出かけちゃうなんて…大丈夫なのかな?」
穂乃果「うーん…まあ、こんなすごい弓は素人には使いこなせそうにないし、売り飛ばすにしても近くで売ったらすぐ足がつくし、運ぶにも嵩張って目立つんじゃないかな?」
亜里沙「そっか」
海未「穂乃果」
穂乃果「なに?」
海未「腹が減っては何とやら…狩りに行く前に甘い物が食べたいです」
穂乃果「え。またー?」
海未「ええ。和菓子が良いですね」
穂乃果「しょうがないなー。じゃあ、これあげる」
海未「これは…最中ですね」
亜里沙「ヤクルトの監督?」
穂乃果「それは真中」
海未「世界で二番目に小さい国です。住民の85%近くは外国人。インドネシアと国旗が同じ」
亜里沙「それはモナコ」
穂乃果「うさぎのような耳がある白くて糸目で丸っこい謎の動物。可愛いマスコットに見せかけて、とてもうさんくさいジョーカーキャラ」
海未「それは…モコナ?」
穂乃果「食べないの?」
海未「いえ、いただきます…」パリッ
亜里沙「ホノカさん。私たちはどうしますか?」
穂乃果「宿に泊まって、早起きして出発しよう。北東の港町は治安が悪いから、あまり長居したくないし夜に着くのはちょっとね…」
亜里沙「治安が悪いんだ…大丈夫かな?」
穂乃果「んー。心配なら、もう一人護衛を連れて行く?」
【湖】
穂乃果「たぶん湖の周りのどこかでヒデコが釣りをしてるはずだよ」
亜里沙「あのお店の店長さんに護衛をお願いするんですか?」
穂乃果「いや、頼りになるとは思うけどヒデコもお店があるし…それに釣りがしたくなると勝手にふらっと水辺へ出かけちゃうから護衛には向いてないと思うよ」
亜里沙「そ、そうなんだ…」
穂乃果「それより湖の真ん中にある島に、湖の“ぬし”が棲んでるんだ」
亜里沙「湖のヌシなのに水の中じゃなくて島にいるんですか?」
穂乃果「うん。湖の“ぬし”はワニさんなの。ワニさんなら強いし護衛にぴったりだと思うよ」
亜里沙「そ、そうなんだ…でも、どうやって島へ渡るの?」
穂乃果「私は泳いで行けるけど…」
亜里沙「えぇ!?そ、それはちょっと…」
穂乃果「だよね…ヒデコが釣りに使うボートに乗せてもらおう」
ヒデコ「ボート?…いや、無いけど」
穂乃果「えぇ!?なんで無いの><」
ヒデコ「今日は岸で釣ろうと思って…暑いし岸なら木陰とかあるじゃん」
亜里沙「そっか。ボートの上だと日差しを遮る物がないから…」
ヒデコ「穂乃果も一緒に釣りでもする?」
穂乃果「いや、私は“ぬし”のワニさんに用があって来たの」
ヒデコ「“ぬし”かぁ…私に釣れるかな!?」
穂乃果「アハハ…まあ頑張って」
亜里沙「どうするの?穂乃果さん」
穂乃果「こんな時こそ、お花の種を蒔こう!」
亜里沙「花陽さんがくれたお花の種だね」
穂乃果「この辺でいいかな…」ザッ
ペタペタ
穂乃果「よし。あとはお水をあげれば…」ギュ
亜里沙「それは…?」
穂乃果「にこちゃんのリストバンドだよ」
亜里沙「どうするの?」
穂乃果「あーめふれーっ!!」
亜里沙(リストバンドの数字が25から24になって…)
ポツ ポツ…
ヒデコ「わぁ!?雨降ってきた…」
穂乃果「あ、ごめんヒデコ」
亜里沙「穂乃果さんが雨を降らせたの!?」
穂乃果「私っていうか、このリストバンドの力だよ。数字が減ってるでしょ?」
亜里沙「うん」
穂乃果「とりあえず…濡れちゃうから木陰に入ろう」
ヒデコ「もー!雨降らすなら先に言ってよ><」
ザァァァ…
穂乃果「これでお花が咲くはずなんだけど…」
ポツ ポツ…
亜里沙「もう雨が弱くなってきた…」
ヒデコ「止んだの?…よかったぁ」
ポンッ
花陽「こんにちは!」
ヒデコ「えっ」
亜里沙「わあ、お花が咲いたよ!?」
穂乃果「こんにちは、花陽ちゃん。早速だけど力を貸してくれないかな?」
花陽「う、うん。何をすればいいの?」
穂乃果「私たち湖の島に渡りたいんだけど、ボートがないんだ。作れる?」
花陽「えっと、二人乗れればいい?」
穂乃果「うん。とりあえず私と亜里沙ちゃんが乗れれば…」
花陽「わかったよ。じゃあ作るね」
亜里沙「花陽さん、ボートを作れるの?どうやって…?」
花陽「チョットマッテテー」
ガサッ
亜里沙「茂みに隠れちゃった…」
ヒデコ「花なのに普通に喋って歩くことはツッコんだら負けなの?」
穂乃果「まあ、ボートを作ってもらうために呼んだから…」
花陽「できたよ!」ガサッ
穂乃果「もう!?」
花陽「よいしょ、よいしょ…」ズルズル
亜里沙「ボートだ…これ、花陽さんが今作ったんですか?」
花陽「う、うん。びっくりするかもしれないけど…私、折り紙得意だから」
亜里沙「折り紙って…これ、紙なんですか!?」
ヒデコ「紙のボートって…濡れたら沈むんじゃない?」
穂乃果「二人分の重さに耐えられるの…?」
花陽「ちゃんと表面加工してあるから大丈夫!見た目より頑丈だよ」
穂乃果「ホントかなぁ…まあ、いざとなったら泳げばいいか。ありがと花陽ちゃん♪」
花陽「気をつけてね」
穂乃果「っていうか、花陽ちゃんも一緒に行く?」
花陽「私はここで待ってるよ。三人より二人のほうが軽いし…」
穂乃果「そっか。じゃあ行ってくるね」
バシャ
穂乃果「オールも紙かな。軽い…」
ヒデコ「穂乃果!気をつけなよ。いろいろ出るから…」
穂乃果「ありがとヒデコ。行ってくるね!」
亜里沙「…いろいろ?」
穂乃果「世界一大きい湖だからね。ワニさん以外にもいろんな生き物がいるはずだよ」
亜里沙「そ、そうなんだ…何がいるのかな?」ドキドキ
穂乃果「たとえば…」バシャ
真姫「…」ベター
穂乃果「わぁ!?…ま、真姫ちゃん」
亜里沙「何してるんですか…?」
真姫「見ればわかるでしょ。ボートにひっついてるの」
穂乃果「もしかして…真姫貝?」
真姫「そうよ」
穂乃果「あのー。紙のボートだからひっつかれると不安なんだけど…」
真姫「おなかが空いたわ」
穂乃果「お菓子あげるから向こう行ってて」
亜里沙「真姫さんを護衛として連れて行けばいいんじゃ…?」
穂乃果「なるほど。…でも真姫貝さんだよね?」
真姫「硬いわよ」
穂乃果「それなら役に立つかなぁ…じゃあお菓子あげるから一緒に来てくれる?」
真姫「いいけど…」
穂乃果「じゃあ、ボートが沈むといけないから私は泳いで戻るね」ヌギヌギ
亜里沙(服の下に水着着てるんだ…)
ドボン
真姫「お菓子は?」
穂乃果「私の保冷バッグの中だよ。亜里沙ちゃん、“ちまき”が入ってるから真姫ちゃんに一つあげて」
亜里沙「チマキ?」
穂乃果「葉っぱに包まれた笹だんごみたいなの」
亜里沙「えーと…これかな?…はい、真姫さん」
真姫「ありがと」
亜里沙(結局ワニさんに会わなかったけど…まあいいか)
にこ「こらー!私を無視して行くんじゃないわよ!」スイー
亜里沙「!?」
穂乃果「あ、ワニさんだ」
にこ「にっわにっわにー!宇宙ナンバーワン湖の“ぬし”やざワニこよ!」
穂乃果「“に”ほんで“に”番目の“に湖”じゃなかったの?」
にこ「世界一にランクアップしたのよ」ドヤァ
真姫「同じ湖に見えるけど…」
にこ「それより穂乃果。あんた私のリストバンドいつまで持ってんのよ?」
穂乃果「これから絵里ちゃんに届けに行くの。ね、亜里沙ちゃん」
亜里沙「はい!」
にこ「いや、私に返しなさいよ」
穂乃果「じゃあ、向こう岸まで競走っていうか競泳で勝負しようよ」
にこ「“ぬし”の私に勝てると…なんかデジャヴュを感じるワニ」
穂乃果「よーいどん!」バシャバシャ
にこ「あっ、こらっ!フライングよ!」
穂乃果「スイミングだよ」
にこ「そうじゃなくって!」
バシャバシャ
亜里沙「二人とも速いなぁ…」
真姫「私たちはボートでのんびり行きましょ」
亜里沙「でも日が暮れる前に町へ帰らなくちゃ…」
ザバッ
穂乃果「勝ったよ!」
にこ「おかしい…時代が変わったの!?」
穂乃果「えへへ。これ結構便利なんだもん…もうちょっと借りててもいいでしょ?」
にこ「仕方ないわね…絵里がいらないっ言ったら返しなさいよ?」
穂乃果「はーい。…この数字が0になるまでは使えるんだよね?」
にこ「そ。…つーか、宿に泊まれば25に戻るわ」
穂乃果「へー。便利だなぁ♪」
真姫「ボートが沈む!?」
亜里沙「あ、あと少し頑張って><」
にこ「これ、まさか紙で作ったの?」グイ
真姫「ふー。なんとか着いたわね…」
穂乃果「このボート、花陽ちゃんが作ってくれたんだ」
ヒデコ「おかえり穂乃果。早かったね?」
穂乃果「ただいま。…あれっ、花陽ちゃんは?」
ヒデコ「この種、渡してほしいって言ってたよ」
亜里沙「種にモドッチャッタノ!?」
真姫「…花陽の真似?」
にこ「似てねー」
亜里沙「そ、そうですか…」シュン
ヒデコ「不思議だけど…また種を蒔けば出てくるんでしょ?」
穂乃果「うん。たぶん…」
亜里沙「じゃあ町へ帰ろう。穂乃果さん」
真姫「私はここまでね」
穂乃果「え、一緒に来てくれないの!?」
真姫「貝は陸じゃ生きられないし」
にこ「私は陸でも大丈夫よ!」
亜里沙(結局ワニさんだけ連れて行くことになったよ…)
ヒデコ「タダで泊めてくれるってさ」
穂乃果「ほんと!?」
ヒデコ「私の釣果を宿泊費がわりに渡したんだけどね」
にこ「釣果?」
ミカ「大量のシジミ!」ドッサリ
穂乃果「えーと…ブラックバス釣りの道具でシジミって釣れるの?」
ヒデコ「まあ獲れたんだからいいじゃん」
亜里沙「あなたが宿のオカミさんですか?」
ミカ「おミカさんです♪」
凛「ちょっと寒くないかにゃー?」
穂乃果「あれっ、凛ちゃんも来てたの?」
凛「宿宿!おんせーん♪」
にこ「あんた、お金持ってんの?」
凛「お願いします」ペコ
穂乃果「えーと…凛ちゃんも一緒に泊めてもらっていい?」
ミカ「いいよー♪」
ヒデコ「んじゃ、私もいろいろ手伝うとするかな」
ミカ「ありがとヒデコ!」
ヒデコ「砂抜きって三時間くらいかかるんだよね…塩水につけるのがポイント」
穂乃果「へー」
ヒデミカ「はっ゙かっ゙たっ゙の゙↑しお゙↓」バサー
にこ「三時間か…先にお風呂かしらね」
凛「お味噌汁は朝でいいんじゃないかにゃ?」
穂乃果「朝はなるべく早く出たいんだけど…」
ミカ「しじみ!早く砂を吐き出して!」コツン
「いたっ」
ほのありにこりんヒデミカ「えっ」
真姫「何するのよ。こんな塩水に浸けて…」
亜里沙「シジミに真姫貝さんが混じってた!?」
穂乃果「いつの間に…湖に帰ったんじゃなかったの?」
真姫「穂乃果にひっついて来たのよ」
穂乃果「えぇ…」
真姫「まあ、明日の朝には帰るけど」
にこ「あんたも泊まるの?」
凛「みんな一緒にゃー♪」
穂乃果「せっかくだから花陽ちゃんも呼ぼうか…」
亜里沙「お花の種を蒔くの?」
穂乃果「うん。今は別に困ってないけど…」
ミカ「鉢に土入れといたよ」
穂乃果「ありがと」
ポンッ
花陽「こんばんは…」
凛「あっという間に咲いたにゃ」
にこ「貝と植物ってお風呂入っても大丈夫なの?」
亜里沙「煮えちゃいそう…」
花陽「だ、大丈夫」
真姫「塩水よりお風呂のほうがいいわ」
亜里沙「カスピ海ならもともと塩水のはずじゃ…」
真姫「私が棲んでるのは湖の北側だから塩分濃度が薄いのよ」
ほのにこりんぱな「へー」
トプン…
ほのありにこまきりんぱな「ふー」
海未「おや、穂乃果たちも来てたんですか」
穂乃果「あ、おかえり海未ちゃん。狩りはどうだった?」
海未「ダメですね。鳥が一羽だけです」
(>8<)ちゅんなぁ…
穂乃果「まさか弓矢で!?」
海未「いえ、素手で捕まえたんですよ」
穂乃果「そっか。よかったぁ…」
(-8-)ブクブク…
亜里沙「お湯につけちゃって大丈夫…?」
ことり「ぷはっ」ザバ
穂乃果「ことりちゃん!?」
花陽「海未ちゃんが捕まえた鳥さんって…」
凛「ことりちゃんだったのー!?」
ことり「うん。捕まっちゃった…エヘヘ」
穂乃果「なんだか、あっという間に増えたなぁ…いっそ、全員で島まで行っちゃう?」
真姫「私は行かないわよ」
海未「私も弓を買うためにお金を貯めたいので出費は控えたいですね」
穂乃果「ことりちゃんと凛ちゃんは?」
ことり「私は飛べばいつでも渡れるし、わざわざ船で行かなくてもいいかなぁ」
凛「かよちんが行くんだったら凛も行くよ♪」
花陽「種を運んでくれればどこへでも行けるよ」
穂乃果「じゃあ…にこちゃん、凛ちゃん、花陽ちゃん。亜里沙ちゃんと私を含めて五人だね」
亜里沙「よろしくお願いします♪」
真姫「島へ何しに行くのよ?」
亜里沙「お姉ちゃんと一緒に暮らすの!」
穂乃果「という亜里沙ちゃんを島へ連れて行くガイドだよっ!」
にこ「私は一応護衛ね」
凛「凛も護衛するにゃー♪」
花陽「わ、私は…何だろう?」
穂乃果「困ったときの花陽ちゃん♪」
亜里沙「折り紙で何でも作れるんですよね!?」
花陽「えーと…できない物もある、かなぁ」
海未「馬車でも作ってもらえば、徒歩よりは早く東へ行けるんじゃないですか?」
穂乃果「そっか。花陽ちゃん、作れる!?」
花陽「できるけど…馬がいないと馬車は動かないよ」
穂乃果「海未ちゃん!馬を捕まえ」
海未「無理です。だいたい野生の馬を捕まえてきても、まともに馬車を牽いてくれませんよ」
穂乃果「ワニさんに馬車を牽いてもら」
にこ「お断りよ!」
穂乃果「ダメかぁ…」ガクッ
花陽「あ、でも…紙の馬車なら、アルパカさんでも大丈夫…かな」
亜里沙「本当ですか!?」
花陽「うん。…ただ、アルパカさんを探すんだったら歩いて東へ行ったほうが早いかも…」
凛「結局、楽はできないもんだよねー」
にこ「急いだって結局そんなに変わらないわよ。地道に行きましょ」
【和室】
穂乃果「それにしても…外観は全然日本っぽくないのに」
亜里沙「畳のお部屋♪」
凛「落ち着くにゃー♪」
にこ「おなか空いたわね」
花陽「私も…」グー
ミカ「なんとかできたよ!シジミのお味噌汁!」
フミコ「他にもいろいろあるけど…」
穂乃果「フミコいたんだ!?」
フミコ「いるよー。宿の料理は基本的に私が作ってるんだよ」
ヒデコ「ミカだけじゃ心配だもんね」
ミカ「えー!?><」
亜里沙「とっても美味しそう!」
フミコ「湖で獲れた魚介類と、あとこの辺りは水がきれいだからお米も…」
花陽「ふっくら、つやつやです…!」キラキラ
ミカ「たくさんあるから、おかわりしてね!」
ことほのうみありにこまきりんぱな「いただきます♪」
穂乃果「しじみのダシがきいてて美味しい♪」
にこ「なかなかやるわね」
花陽「ごはんも最高ですっ!」ハフハフ
凛「お、お魚…」
ことり「凛ちゃん、苦手なんだっけ?」
海未「これは…何の塩焼きでしょう?」
亜里沙「アロサ…だよね?」
ヒデコ「そう。英名はカスピシャッド。和名はニシンダマシ」
真姫「湖にいる魚ね」
穂乃果「へー。食べたことないや…」パク
ことり「美味しいよ。さすがフミコちゃん♪」
フミコ「えへへ。お魚さばいたのはヒデコだけどね♪」
ヒデコ「鱗が結構大きくて、なかなか手強いんだよね」
ミカ「ヒデコがブラックバス釣りに行って、いつも関係ない魚釣ってきてくれるから助かるよ♪」
にこ「ブラックバスじゃ、どうしたってこんなに美味しくならないわよね」モグモグ
ヒデコ「まあそうなんだけど…」
凛(湖畔の宿だから、やっぱりお魚がメインだよね…)トホホ
ミカ「しじみがたくさんあるから、あれも作ってみたよ♪」
穂乃果「あれ?」
フミコ「はい、しじみラーメン♪」
凛「にゃ!?」
ヒデコ「スープのダシにシジミを使ったラーメンだよ」
凛「わあー!すっごく美味しそう♪」
ミカ「フミコの自信作だから、味わって食べて!」
凛「おいしい♪」trtr
亜里沙「もうお腹いっぱい…」
ことほのうみありにこまきりんぱな「ごちそうさま!」
凛「またお風呂に行くにゃー♪」
花陽「え、また入るの?」
穂乃果「明日の朝は早めに出るから、あんまり夜更かししちゃダメだよ?」
凛「大丈夫にゃ!」ピョーン
チュン(・8・)チュン
亜里沙「お姉ちゃん…」ギュー
穂乃果「えへへ…雪穂ー」ギュー
ほのあり「ん?」
亜里沙「あ、あれっ?お姉ちゃんが穂乃果さんになっちゃった…」
穂乃果「あ、亜里沙ちゃんだったんだ…なんか匂いとか感触が違うなーとは思ったけど」
亜里沙「私も…エヘヘ。ごめんなさい♪」ギュ
穂乃果(亜里沙ちゃん…可愛いなぁ///)ドキドキ
にこ「ここあー」ギュー
ミカ「わぁ!?…な、なに?」ジタバタ
花陽「にこちゃん、寝ぼけてる…?」
真姫「起きなさいよ」チョップ
にこ「いたっ><」
にこ「何すんのよ…ん、誰あんた」
凛「女将さんにゃ」
ミカ「おミカです♪」
にこ「なんで抱きついてんのよ!?」
ミカ「いや、ワニさんが抱きついてるんですけど…朝ごはん、どうします?」
花陽「おなかすいた…」グー
フミコ「今日もシジミのお味噌汁だけど…」
真姫「バゲットにキャビア?」
ヒデコ「うん。湖ではチョウザメも獲れるんだ」
穂乃果「それもヒデコが釣ってきたの?」
ヒデコ「まあねー」ドヤァ
ことほのうみありにこまきりんぱな「いただきます♪」
にこ「変な組み合わせね…美味しいけど」
亜里沙「えーと、島までは残り半分くらい…?」
穂乃果「東の港町に着いて、船で北へ渡れば半分ってとこかな」
凛「まだまだ先は長いにゃー」
穂乃果(ことりちゃん海未ちゃん真姫ちゃんと別れて、私たちは西へ向かうよ)
穂乃果「街道は海で一旦途切れるけど、向こう岸まで続いてるんだ」
にこ「全部合わせると物凄く長い道ね」
凛「スタートからゴールまで一気に走ってみたいにゃ!」
花陽「凛ちゃんでもそれはさすがにキツいと思うけど…」
穂乃果「いっそ、海も泳いで渡っちゃう!?」
にこ「無茶言わないの」デコピン
穂乃果「いたっ><」
亜里沙「ここから先は何が出るのかな…?」ワクワク
凛「街道よりも町に着いてからのほうがいろいろ出そうな感じだけどにゃ」
にこ「治安の悪さは世界一の街だからね。気をつけなさいよ」
【街】
穂乃果「あっという間に着いたよ!」
凛「早く船に乗るにゃー」
亜里沙「お店とか見ていかないの…?」
にこ「じゃあ、とりあえず…街の真ん中にある一番でかい建物に入ってみましょ」
「へっへっへ!」
ほのありにこりん「えっ」
「つうこうりょうをもらうよ!おかねをださないと、とおせんぼだからねっ」
凛「なんか小っちゃい子がいるにゃ」
穂乃果「か、かわいい…誰!?」
にこ「ここあ!あんた何やってんのよ!?」
ここあ「あっ、おねえちゃん!」タタッ
ここあ「おねえちゃーん♪」ギュー
にこ「通行料とか言ってたけど…あんた、まさか通行人からお金巻き上げてんじゃないでしょうね!?」
ここあ「えっ。アハハ…ちがうよー?ヤクザごっこだもん!」
にこ「ふーん。それでいくら集めたの?」
ここあ「252円!」
デコピン
ここあ「いたーい><」
にこ「小銭でも他人にたかったりするんじゃないの!何か欲しい物があるんだったら私に言いなさいよ」
ここあ「おねえちゃん!」
にこ「何よ?」
ここあ「ここあ、おねえちゃんがほしい♪」
にこ「はぁ?…私がいるでしょ」
ここあ「だから、おねえちゃんといっしょにいたいのー」
にこ「…ここあ」ナデナデ
ここあ「えへー♪」キャッキャ
にこ「穂乃果…悪いけど、先に行ってくれる?」
穂乃果「えーと…にこちゃんは?」
にこ「ここあを連れて帰るわ。島へは行けない…」
亜里沙「Хорошо」
花陽「家族っていいね…」ウルウル
凛「かよちん、どこにいたの?」
花陽「治安が悪いって聞いてたから、種に隠れてたの…エヘヘ」
ここあ「またねー!」ブンブン
穂乃果(にこちゃんと別れて四人で北へ行くことになったよ)
亜里沙「湖畔の町より大きい建物だね…お店って感じじゃないけど」
凛「でも奥に店員さんがいるにゃ」
穂乃果「ホントだ。店員さ…ん!?」
雪穂「あれっ、お姉ちゃん?」
穂乃果「雪穂!なんでいるの!?」
雪穂「なんでって…ここは風の術法を教えます」
亜里沙「風邪?」
雪穂「そう。たとえば、吹雪を起こせる!」
穂乃果「吹雪…だから雪穂?」
凛「でも、お高いんでしょう?」
雪穂「9200円です」
穂乃果「高いよ!92円くらいにして!」
雪穂「ダメ」
穂乃果「えー!じゃあいいよ。にこちゃんのリストバンドで雨を降らせるだけで充分だし」
雪穂「吹雪のほうが強いよ?」
亜里沙「吹雪って何の役に立つの?」
雪穂「敵の進軍を阻んだりできるよ」
凛「そんな大勢の敵を相手にする場面が無いと思うにゃ」
穂乃果「それに私たちの目的は島へ行くことだし…吹雪なんて私たちも進めなくなって困るじゃん」
雪穂「むう…せっかくお姉ちゃんが来ると思って待ってたのに」
穂乃果「っていうか、教えられるんだったら雪穂は使えるんでしょ?」
雪穂「いや、私は風の法力が足りなくて使えない」
穂乃果「えぇ…じゃあ私たちが買っても結局使えないじゃん!」
雪穂「亜里沙なら買えば一回は使えると思うよ」
亜里沙「ごめんね。無駄遣いしないっておばあさまと約束したから」
雪穂「そっか。残念…」
穂乃果「それより雪穂も一緒に行こうよ!」ギュ
雪穂「しょうがないなー。心配だからついて行ってあげる」
穂乃果「雪穂ー♪」スリスリ
雪穂「いや、お姉ちゃんじゃなくて亜里沙が心配なんだからねっ」
亜里沙「Хорошо」
雪穂「お姉ちゃんたち、北へ行くの?」
穂乃果「そうだよ。船で」
雪穂「ふーん…でも人数分お金取られるよ。高いし」
穂乃果「花陽ちゃんに船を作ってもらえばタダだよ♪」
雪穂「いや、勝手に船を出したら警備兵に捕まると思うんだけど」
穂乃果「そうなの!?」
雪穂「この町は評判悪いからね。北側が監視してて不審な船が来たら向こうに着く前に捕まる」
凛「高い船に乗るしかないのかにゃ?」
雪穂「でも警備がノーチェックの場所があるんだよね…」
穂乃果「どこ!?」
雪穂「海がダメなら…地下!」
亜里沙「チカ?」
雪穂「そう。この街、実は地下で北側と繋がってるんだ。海底を通って行けば船に乗らなくても一応向こうへ渡れる」
凛「なーんだ。それなら船に乗る必要ないにゃ」
雪穂「ただ…地下は迷路みたいになってて、いろいろ出るけど」
穂乃果「いろいろ!?」
雪穂「行ってみればわかるよ…」
ドバババ
凛「一応ちゃんと通路があるんだにゃ」
雪穂「途中まではね」
亜里沙「途中?」
雪穂「とりあえず歩いて行けるとこまで行ってみよう」
ヒタヒタ…
凛「何か来るにゃ」
「がおーっ!!」
凛「にゃ!?」
亜里沙「Ой!?」
雪穂「って、お姉ちゃん!?いつの間に先回りしてたの…?」
穂乃果「フフフ…私はクマさんだよっ!」
雪穂「あ、クマなんだ」
穂乃果「そう、アクマさん!」
亜里沙「かわいい♪」ナデナデ
穂乃果「えへへ」
凛「早く先へ進もうよー」
穂乃果「ちょっと待って。ここから先へは行かせないよっ!」
雪穂「なんでよ?」
穂乃果「ここを通りたければ、焼きたての美味しいパンか、日本産の輸出向け高級いちごをちょうだい!」
雪穂「持ってるわけないじゃん。いちごの季節じゃないし…風の術も一番安い150円のしか売れないし儲からないんだよ」
凛「パンなら今朝食べたにゃ」
穂乃果「もう時間も経ったしお腹すいたよ!><」ジタバタ
雪穂「もう。そんなワガママ言ってると…」ムギュ
穂乃果「えっ」
雪穂「私がお姉ちゃんを食べちゃうからね!」カプ
穂乃果「ひゃぁ!?ちょっ、雪穂!?///」
亜里沙「Хорошо♪」ドキドキ
凛「すごいにゃ///」ドキドキ
雪穂「さ、行こ。お姉ちゃん」ギュ
穂乃果「雪穂…うん///」
グニャ
凛「ん?…何か踏んだにゃ」
亜里沙「緑色で、ぷるぷるしてる…」プルプル
雪穂「巨大な…ゼリー?」
亜里沙「何かの映画で見たことある!」
花陽「こ、こんにちは…」プルプル
凛「かよちん!?…何してるのー?><」
花陽「ここから先へは行けないよ…」プルプル
穂乃果「花陽ちゃんもお腹すいてるの?」
雪穂「空腹をこじらせて自分が食べ物になっちゃったってこと?」
真姫「イミワカンナイ」
穂乃果「あ、真姫ちゃん…来てたの?」
真姫「ここから先は海と繋がってて海水で満たされてるのよ」
花陽「真姫貝ちゃん…」ジーッ
真姫「な、なによ。私を食べる気!?」
凛「っていうか、今はかよちんがゼリーだから凛たちが食べちゃうこともできるよねー?」
花陽「た、食べられる前に食べちゃうよ!」プルプル
凛「にゃぁ!?><」ズブズブ
穂乃果「凛ちゃんがゼリーに取り込まれた!?」
凛「ゼリーになっちゃうにゃー」プルプル
穂乃果「凛ちゃんが黄色いゼリーになっちゃった!?」
花陽「フフフ…」プルプル
凛「えへへ…」プルプル
真姫「正気に戻りなさいっ!」チョップ
プルン
真姫「ヴェぇ!?」
穂乃果「真姫ちゃん!」グイ
真姫「あ、危うく取り込まれるところだったわ…」
雪穂「よーし。ここは私が…」
亜里沙「ユキホ、大丈夫?」
雪穂「まあ見てて」ヒューン
雪穂「えいっ」ペタン
亜里沙(雪穂は大きく息を吸った後、ゆっくり息を吐き出しながら両手をそれぞれ緑色と黄色のゼリーに触れて…)
りんぱな「」カチコチ
真姫「ゼリーが…凍った?」
穂乃果「これ…もしかして風の術!?」
雪穂「そう。吹雪はまだ無理だけど、触った物を凍らせることはできるんだ」
穂乃果「す、すごい…雪穂っていうか雪女!?」
雪穂「まだ一回しか使えないけどね。宿に泊まれば回復するけど」
穂乃果「でも凛ちゃんと花陽ちゃん大丈夫かな?」
雪穂「放っといてもそのうち自然解凍されると思うよ。夏だし」
真姫「二人には悪いけど、今のうちに先へ進みましょ」
スタスタ
亜里沙「あ。この下って海水…」
真姫「そう。歩いて行けるのはここまでね」
雪穂「っていうか、そこに誰かいるけど…」
ヒデコ「あ。穂乃果」
穂乃果「ヒデコ!来てたんだ…何してるの?」
ヒデコ「釣りに決まってるじゃん」
亜里沙「ここ、お魚いるんですか?」
ヒデコ「いるよ。…ほら」
バシャバシャ
雪穂「群がってきてる…こんなところにどうして魚が集まるんですか?」
穂乃果「撒き餌?」
真姫「え?…なに?」
ヒデコ「いや、あれは私たちをエサだと思ってるんじゃないかな」
穂乃果「えぇ!?そんな凶暴な魚なの?」
ヒデコ「湖にいる魚よりずっとね。こんなところじゃ餌も不足してるし常に飢えてるんだよ」
穂乃果「な、なるほど…」
雪穂「こんなところ泳いで渡れないし…」
真姫「水を凍らせれば渡れるんじゃないの?」
亜里沙「そっか。ユキホの風の術なら…」
雪穂「でも宿に泊まらないと、今日はもう使えないよ」
穂乃果「さっき使っちゃったから、しょうがないよね…」
雪穂「…ごめん。一度戻る?」
真姫「そうね」
【街】
真姫「もう船で渡ったほうが早いんじゃない?」
穂乃果「でも高いし…そうだ真姫ちゃん、船賃貸して!」
真姫「はぁ…わかったわよ。三人分くらいなら出すわ」
穂乃果「真姫ちゃんは来ないの?」
真姫「北へ渡った後は、しばらく陸地でしょ。私はここまでが限界」
穂乃果「そっかぁ…」
雪穂「待って。北へ渡る前に法力を回復しておきたいんだけど」
亜里沙「この街の宿に泊まるの?」
雪穂「できれば…この先、何があるかわからないし」
真姫「そうね。…向こうより安そうだし」
【宿】
ミカ「いらっしゃいませ!」
穂乃果「って、またミカが女将さん!?」
ミカ「おミカさんです!」ドヤァ
真姫「湖畔の宿はどうしたのよ?」
ミカ「それは…企業秘密♪」
穂乃果「ま、まあいいけど…じゃあ今夜もよろしくね」
フミコ「まかせて。今度は海の幸を使った料理でおもてなしするよ♪」
モブJC(手伝いに来ました)
穂乃果「あ。雪穂と亜里沙ちゃんの友達の…」
モブJC(こんにちは)ペコ
穂乃果(相変わらず、うちのお父さん並みに無口だなぁ…あの子が喋ってるの聞いたことないよ)
穂乃果「もうお腹ペコペコ…今日は先に晩ごはんでいいよね?」
フミコ「今日はアサリの砂抜きも済んでるし、すぐ用意できるよ♪」
亜里沙「亜里沙?」
雪穂「違うよ。アサリはシジミより大きい、海にいる二枚貝」
真姫「ちょっと!私は砂抜きなんてしなくていいわよ」ピュー
ミカ「わぷっ><」←水かけられた
穂乃果「また真姫ちゃんがアサリに混じって水に浸けられてる…」
フミコ「メインの魚もそろそろかな…?」フキフキ
亜里沙「そろそろ?」
ヒデコ「みんな!」バタン
フミコ「おかえりヒデコ。どうだった?」
ヒデコ「やった!ついに釣れたよ!特大のシーバス!」
穂乃果「わ、ホントに大きい…1メートル以上あるよね!?」
ミカ「“外道”のヒデコが、ついに狙い通りの魚を!?」
ほのフミミカ「おおー。しんじられぬー」
ヒデコ「いや、今回狙ってたのはマグロなんだけどね…」
穂乃果「じゃあ、やっぱり外道だったんだ…」
フミコ「まあ…長年の乱獲で内海のマグロやサバは絶滅寸前だし、仕方ないよ」
ミカ「ちゃんと食べられる大物が釣れたんだし、よかったじゃん♪」
ヒデコ「まあね…じゃあ、早速さばくよ」
モブJC(しばらくお待ちください)
ミカ「できたよー!」
亜里沙「わあー!これ、テレビで見たことある!ボートに乗ったお刺身♪」キラキラ
雪穂「舟盛りだね」
穂乃果「なんか豪華っぽい!?」
ヒデコ「スズキ自体はそんな高級魚でもないけどね。釣りたての活魚だし味は保証するよ♪」
フミコ「アサリのお味噌汁もできたよ♪」
ほのゆきありまき「いただきます♪」
雪穂「いいダシ出てるね」
亜里沙「お刺身も美味しい♪」モグモグ
ミカ「うちに泊まって正解でしょ?」ドヤァ
穂乃果「ヒデコのおかげだね♪」
真姫「フミコ先輩もね」
ミカ「えー?私はー!?><」
穂乃果「ミカもありがと♪」ナデナデ
ミカ「えへへ」
ほのゆきありまき「ごちそうさま♪」
雪穂「わ、海が見える露天風呂なんだ…」
亜里沙「Хорошо!」キラキラ
穂乃果「でも…海から丸見えだよね?…ちょっと落ち着かないかも」
真姫「“海上の”治安だけはしっかりしてるから、不審な船なんか居ないわよ」
穂乃果「そっか」ホッ
雪穂「そうそう。誰か素潜りでもしてない限り…」
スイー
亜里沙「あれ何だろう?水鳥かな?」
穂乃果「えっ」
(^8^)丸見えちゅんなぁ♪
ほのゆきまき「…」
【夜・和室】
穂乃果「…」スヤスヤ
「うふふ。よく寝てる…」ソローリ
穂乃果「…ん」
サワサワ
穂乃果「んっ…やめてよ雪穂…」
ガシッ
「!」
雪穂「誰がお姉ちゃんに触っていいって言いました?」
「あら。起きてたの?」
雪穂「起きたのよ。あなた何者!?」
「フフフ。職業柄、名乗るわけにはいかないの」
雪穂「人さらいか何か?」
「さあ?穂乃果ちゃんをさらっちゃうのは吝かではないけど♪」
雪穂「砂場だか更科だか知らないけど、あなたなんかに渡さない!」
真姫「“やぶそば”でしょ」チョップ
「いたっ><」
ドサッ
雪穂「チョップっていうより貝殻で殴ってる感じ?」
亜里沙「痛そう…」
穂乃果「雪穂ー?おそば屋さんの出前が来たの?」ファー
雪穂「そば屋じゃないよ。ただの変態」
穂乃果「変態さん?…あれ、でも女の人だよ?」
真姫「どこかで見たような…?」
「いててて…退散したほうが良さそうね」
海未「そこまでです。動くと矢が刺さりますよ」
穂乃果「海未ちゃん!」
「私の自慢のお肌に傷をつける気?」
海未「あなたに逃亡および抵抗の意思が無ければその必要はありません」
「うふふ。私を捕まえてどうするのかしら?」
海未「幾つか質問に答えていただきます」
「答えられる範囲なら何なりと♪」
雪穂「あ…思い出した。この人、A-RISEの…」
亜里沙「スシローさん!」
穂乃果「うずしおでしょ?」
海未「それを言うなら厨子王(丸)ですよ」
「そっちじゃないわよ!あんじゅ!優木あんじゅ!」
真姫「結局名乗ってるじゃない」
海未「なぜ宿に…穂乃果たちの部屋に忍び込んだのです?目的は?」
あんじゅ「可愛い女の子の匂いがしたから♪」
雪穂「やっぱり人さらい?」
あんじゅ「別に売り飛ばそうなんて考えてないわよ。個人的に楽しむだけ♪」
海未「いずれにせよ野放しにはできませんね」
あんじゅ「あら、そう。残念♪」パチ
パッ
真姫「!…灯りが」
亜里沙「真っ暗で何も見えないわ」
雪穂「お姉ちゃん」ギュ
穂乃果「だ、大丈夫。ちゃんといるよ」ヒソヒソ
バタン
ミカ「カンテラ持ってきたよ!」
亜里沙「三↑時の↓おやつは♪」
雪穂「それはカステラ」
海未「いない…逃げられた!?」
真姫「みんないる!?」
穂乃果「いるよー」
【外】
ツバサ「悪ふざけが過ぎるわよ。あんじゅ」
あんじゅ「弓矢の鬼さんはツバサの担当でしょ?」
英玲奈「あちらの動きも予想通りにはいかないということだ。出直そう」
あんじゅ「はーい…」ファー
【再び和室】
ミカ「だ、大丈夫?」
穂乃果「うん。みんな無事だよ。真姫ちゃんと海未ちゃんのおかげで♪」
真姫「私は何もしてないわよ」
海未「それに結局逃げられてしまいました。すみません…」
雪穂「…」
穂乃果「ありがと雪穂。守ってくれて」ギュ
雪穂「ま、まあ…お姉ちゃんと一緒に寝てたのは私だし///」
真姫「また来るかしら?」
海未「近くに気配もありませんし、今夜はもう大丈夫だと思いますが…念のため私が見張りましょう」
亜里沙「海未さんもちゃんと寝たほうが…」
真姫「途中で私が代わるわよ。穂乃果たちと一緒に行かないから、後でゆっくり寝られるし」
海未(私は引き続き別行動で警戒していたほうが良さそうですね…)
チュン(・8・)チュン
真姫「気をつけて行きなさいよ」
穂乃果「ありがと真姫ちゃん!またね♪」
亜里沙「船長さん。よろしくお願いします♪」
雪穂「目の前の向こう岸と往復するだけの渡し舟だし、船頭さんって感じじゃない?」
亜里沙「千堂さん?」
「いや、千ではない…トウドウさ」
穂乃果「とお?十堂さん?」
「そう…統堂だよ」ニヤリ
【港町・北部】
穂乃果「む゙ーっ!><」
あんじゅ「あら、かわいそう。英玲奈ったら、不粋なことするんだから」シュル
穂乃果「雪穂と亜里沙ちゃんは!?」
あんじゅ「あの二人には用はないから、別の町へ行ってもらったわ♪」
穂乃果「どこですか!?」
あんじゅ「解放したのよ。拘束されてるわけじゃないから二人が自力で移動してる頃じゃないかしら?二人に訊かないと行き先はわからないわ」
穂乃果(亜里沙ちゃんは島へ行きたがってるんだから…予定通り街道を通って北へ向かったのかな)
穂乃果「どうして私を…ここってどこなんですか!?」
あんじゅ「あなたたちが渡し舟で向かった行き先よ」
穂乃果「じゃあ街の北側にいるんだ?…この建物、雪穂が居た神殿と似てる…」
あんじゅ「そうね。私は術は教えてあげないけど♪」
穂乃果(雪穂…亜里沙ちゃんを頼むよ。私を探したりしないで…)
【港町・南部】
(・8・`)ちゅんなぁ
海未「そうですか…くっ。私も一緒に乗っていれば!」
ことり「行くの?」
海未「当然です。…ことりは先に」
ことり「まかせて♪」
バササッ
海未(私が…いえ、私たちが必ず穂乃果を取り戻します!)
【街道】
亜里沙「雪穂…穂乃果さんを探さなくていいの?」
雪穂「もちろん探すけどさ…亜里沙は絵里さんに会いに行くんでしょ?」
亜里沙「お姉ちゃんの居場所はわかってるから、いつでも会えるもん。でも穂乃果さんは…」
雪穂「とにかく、まずは北を目指して進もう。途中で立ち寄った場所で探してみるよ。どこにいるかわからないとどうしようもないし…」
雪穂(油断した…でも、お姉ちゃんをさらった船頭の顔は覚えてる。A-RISE…あの人の仲間だったんだ)
雪穂「北の大草原に入る前に湖畔の街があるけど…寄ってく?」
亜里沙「うん。何か穂乃果さんの手がかりがあるかもしれないし」
【湖畔の城下町】
雪穂「ここの湖は世界で二番目に大きくて、世界一きれいな湖なんだってさ」
亜里沙「へー」
雪穂「さて、どこから回ろうか…やっぱり人が集まりそうな」
亜里沙「ねえユキホ。あの橋は何?」
雪穂「橋?…ああ、長い橋の向こうに一軒だけ建物があるね」
亜里沙「怪しい!」
雪穂「そ、そう?…逆に目立つ気がしなくもないけど」
亜里沙「行ってみようよ。ユキホ!」
雪穂「うーん。まあいいか…」
【店?】
雪穂(ドラゴンボールみたいな看板がある…何のお店だろ?)
亜里沙「たのもー!」ドンドン
雪穂「あ、亜里沙…えっと、ごめんくださーい」ガチャ
ギィ…
「きみたち」
ゆきあり「えっ」
「科学で解明できないものは…存在しないと思うかね?」
雪穂「お邪魔しました」バタン
亜里沙「ユキホ」
雪穂「いや、亜里沙の言うとおりめちゃくちゃ怪しいし…」
亜里沙「怪しいからこそ行かなくちゃ。穂乃果さんのこと、何かわかるかも」
雪穂「亜里沙…そうだね」
亜里沙「うん♪」
ガチャ ギィ…
「もー。そんなにウチが信じられないんやったら、今回は特別にタダで占ってあげるよ。それなら損はしないやろ?」
亜里沙「占いのお店なんですか?」
雪穂「っていうか、希さん…」
希「んー?」パラララ
亜里沙「ユキホ!穂乃果さんのこと、占ってもらおう♪」
雪穂「うーん。占いかぁ…」
希「よっしゃ。まかせて♪雪穂ちゃんが穂乃果ちゃんと結婚したら子供は何人できるか占えばいいんだよね?」シュタタタ
雪穂「違います」
希「まあ大丈夫や。今キミたちが何を求めてるのか、それもカードが教えてくれる」スッ
希「最初のカードは…大アルカナの2番、女教皇の逆位置やな」パタ
亜里沙「ぎゃく?」
希「正位置では知恵や良識などの意味をもつカードや。逆位置の場合は…非情、裏切りといったところやな」
雪穂「非情って…」
亜里沙「もしかして、凍らせてオダギリにしちゃったゼリーの…」
雪穂「置き去り、ね」
希「置き去り?」
雪穂「い、いえ…次のカードは!?」
希「えーと…」スッ
希「小アルカナ、ワンドの2…逆位置や」パタ
亜里沙「また逆なんだ…どんな意味のカードですか?」
希「孤立、逃避、トラブル、裏切り…といった暗示やな」
雪穂「ま、また裏切り!?」
希「なんかあったん?」
雪穂「つ、次のカードお願いします!」
希「まあいいけど…」スッ
希「小アルカナ…またワンドや。4の正位置。自由、居場所といったところやな」パタ
亜里沙「居場所…穂乃果さんの居場所!?」
雪穂「自由っていうのは、お姉ちゃんが解放されたってこと?」
亜里沙「あれ?…でも、じゃあ非情とか孤立は何だろう…?」
雪穂「やっぱり凛さんと花陽さんのことかも…二人が今は自由になって、その“居場所”なのかな?」
亜里沙「港町へ戻ってみる?」
希「いや、北や」
ゆきあり「えっ」
希「2、2、4。このカードの組み合わせが北へ行けって言ってるんよ」
雪穂「北ってことは…大草原かな」
希「たぶんね。…さて、じゃあウチも行こうかな♪」
亜里沙「希さんも一緒に行くんですか?」
希「もちろん。カードは三枚、ウチらも三人」
雪穂「…なるほど」
希「それに2と2と4を足したら8になるし♪」
亜里沙「はち?」
【港町北部・神殿】
ブーン…
穂乃果(な、なに?窓からハチが入ってきて…)
あんじゅ「ツバサ。ご苦労さま♪」
ポンッ
穂乃果(人間になった!?)
ツバサ「鬼さんが動き出したわよ」
あんじゅ「英玲奈が止めてくれたでしょ?」
ツバサ「海がダメなら、地下がある」
あんじゅ「どうするの?」
ツバサ「直接ご挨拶してくるわ」ポンッ
あんじゅ「気をつけてね」
ブーン…
穂乃果「海未ちゃんに何をするつもり!?」
あんじゅ「さあ?それはツバサに訊いてみないと♪」
穂乃果「私の大切な人にひどいことしたら…許さないからっ!」
あんじゅ「うふふ。大丈夫よ。キラービーに刺されても鬼さんは死なないでしょ?痛みが忘れられなくなっちゃうかもしれないけど♪」
【港町・南部】
バサバサッ
ことり「海未ちゃん。待ってても船は来ないよ」
海未「やはり仕組まれた時間稼ぎですか…小賢しい!」
ことり「地下から行こうよ」
海未「それしか無いようですね…」
【地下】
バシュッ
ことり「…すごい」
海未「さすが地上最強の飛び道具というだけのことはありますね。この剛弓ならば、木の矢で石像さえも貫くことができます」
ことり「でも今のってガーゴイル…だよね?」
海未「ええ。何者かが意図的に置いた…ということでしょう」
ことり「船が来ないようにして、私たちがここを通るしかない状況を作った…」
海未「そしてあわよくばここで私を始末しようと…」
「あら。あなたがその程度の魔物にやられるなんて思ってないわよ?…だって、棺桶を運ぶなら私より適任がいるもの♪」
海未「誰です!?」
ブーン…
ことり「ハチ?」
「どれほどの名手か知らないけど…後ろに矢は放てないわよね?」
海未「試してみますか?」
「!」
ヒュッ ブン
「っ!」ガッ
カラン
「…やるわね」
海未「二刀とは…」
「ふふっ…得物がひと振りなら私の完敗だったわね」
海未「くっ」ガクッ
ことり「海未ちゃん!」
「片方で二人相手は面倒だし…今日のところは退散するわ」
海未「綺羅…ツバサ!」
ツバサ「懲りずに追ってくるなら…是非生きたまま来てほしいわね。楽しみが減っちゃうのはつまらないもの♪」クス
海未「待ちなさい!」
ツバサ「ごきげんよう」ポンッ
ブーン…
海未(叩き落とした刃物も消えた…おそらく二本で一対の武器は蜂の牙と針に相当する、彼女の“一部”なのでしょう)
ことり「海未ちゃん!大丈夫!?」
海未「この剛弓をもってしても…矢を弾かれ、手傷を負ったのは私だけ…精進が足りないようです」
ことり「とにかく、一度脱出したほうが…」
海未「ええ。“北側の”出口から脱出しましょう」ニコ
ことり「海未ちゃん…」
ことり(海未ちゃん、私が狙われないように動いてた。…もし私が居なかったら、一対一なら勝てるのかも…)
キラキラ
海未「傷も塞がった…ありがとうございます」
ことり「えへへ。真姫ちゃんのお母さんに教えてもらったの♪海未ちゃんも今度行ってみたら?」
海未「光の術ですか?…私は向いているかどうか…」
ことり「行こうよ。…穂乃果ちゃんと三人で」
海未「ことり…そうですね。必ず三人で!」
【大草原】
亜里沙「ここも街道の一部なの…?」
雪穂「一応、街道はまだ続くんだけど…正直、ここを通らないといけないんだったら道の意味がないよね」
希「そやね」
雪穂「気をつけて。この辺りは肉食の獣が出るらしいよ」
亜里沙「けもの…猫さんとか?」
雪穂「いや、虎とか」
「がおーっ!!」
雪穂「出た!?」
亜里沙「Ой!?」
「えへへ。虎さんだよー。がおがおー!食べちゃうにゃ♪」
希「凛ちゃん…虎っていうより猫みたいやな」
亜里沙「やっぱり解凍されてたんだ…」
凛「よくも凛たちを凍らせて置き去りにしてくれたにゃぁー?」
雪穂「うぐっ。…ご、ごめんなさい」
凛「まあ、こうして復活したからいいけどにゃ」
亜里沙「花陽さんは…?」
凛「かよちんはお花の種を蒔けば何度でも復活するよー」
雪穂「でも、お花の種はお姉ちゃんが…」
凛「凛も持ってるにゃ。この種をそのへんに蒔けば…」ポイッ
希「いや、もっとちゃんと土を掘るとかして埋めたほうが…」
凛「大丈夫にゃ!」ピョーン
亜里沙「お水は…にこさんのリストバンドも穂乃果さんが持ってるんだよね」
希「それはウチに任せて♪」スッ
凛「タロットでどうするのー?」
希「これは小アルカナ、カップの9や」
亜里沙「カップ?」
希「そう、杯のカード。水の象徴でもあるん」
雪穂「杯に水が入ってるから…?」
希「その通り。そしてこれを逆位置…つまり水が入った杯を逆さにすると」
ザァァァ…
凛「わあっ、雨降ってきちゃったにゃ><」
亜里沙「9を逆さにすると…」
雪穂「…6?」
花陽「こんにちは♪」ポンッ
ポツ ポツ…
凛「かよちーん♪」ギュー
花陽「凛ちゃん…あ、希ちゃんもいたんだ」
雪穂「花陽さん…その、ごめんなさい…」
花陽「いいよ。お花の種があれば私は何度でも復活するから…それより、もしかして何か手伝えること、あるかなぁ?」
亜里沙「穂乃果さんのところへ行きたいの!」
花陽「えーと…じゃあ、やっぱり…あれかな」
希「あれ?」
凛「どれ?」
花陽「南東に湖畔の城下町があるよね。そこで一番高い建物に登ろう」
雪穂「城下町で一番高い建物って言ったら…」
亜里沙「お城…宮殿だよね」
【湖畔の城下町】
雪穂「でも、私たち一般人…しかもよそ者が宮殿に入れてもらえるかなぁ?しかも高いところに登るんだよね?」
花陽「う、うん。高くて、なるべく広いところがいいかな…」
凛「屋根の上とかー?」
希「勝手に登ってバレたらアウトやね」
亜里沙「屋根だけに…」
凛「ちょっと寒くないかにゃー?」
希「ウチがスベったみたいに言わんといて。偶然やし」
雪穂「屋根だけに滑って…」
亜里沙「落っこちたら大変!><」
花陽「あ、あのー。とにかく行ってみたほうがいいと思うんだけど…」
【城門前】
美術部「あなた方は何です?王宮に何の御用ですか?」
凛「弱そうな門番にゃ」ヒソヒソ
希「わしわしで突破できそうやね」ヒソヒソ
花陽「そ、それはかえってマズいんじゃ…悲鳴でも上げられたら衛兵さんが集まってくるよ」ヒソヒソ
亜里沙「私たち屋上に登りたいんです。入っていいですか?」
雪穂「ちょっ…亜里沙!」
美術部「屋上?…そんなところに登って何をするつもり?」
凛「何をするつもり?」キリッ
花陽「り、凛ちゃん」
希「ん?…なんか聞き覚えがあるような」
『新入生歓迎会の日の放課後やな』
『何をするつもり?』
『それは…』
『ライブです!』
生徒会A「あっ、副会長!」
生徒会B「副会長!会いに来てくれたんですか!?」
希「え?…あ、うん。まあね」
生徒会C「嬉しいです!きっと会長も喜びますよ♪」
希「…会長?」
花陽「そういえば…あの三人って」
凛「絵里ちゃんと一緒にいた人たちだよねー?」
雪穂「まさか…この宮殿の主って」
「あなたたち。いったい何の騒ぎ?」
生徒会ABC「会長!」
美術部「あの子たちが急に…」
亜里沙「お姉ちゃん!」
絵里「亜里沙!?…どうして王宮に?」
亜里沙「お姉ちゃんこそ…島で暮らしてるんじゃなかったの?ここ、ニッポンじゃないよね?」
【港町・北部】
海未「穂乃果を返してもらいますよ」
ことり「ちゅんちゅん!」
英玲奈「たった二人で来たか。愚かな…」
ツバサ「三人揃ったA-RISEに勝てると思ってるの?」
「こっちも二人追加よ!」
あんじゅ「!…港に舟が」
英玲奈「バカな!?舟は私が隠しておいたはず…」
真姫「そうね。でも隠した舟に何かが張り付いていないか、確認を怠ったあなたの自業自得」
にこ「おかげで難なく渡って来られたわよ。…ま、私なら自力で泳いでも渡れるけど」
海未「にこ、真姫…」
英玲奈「くくっ…四対三でも大差ない。むしろ我々は三人で完成形だ。負けはしない!」
あんじゅ(そう…穂乃果ちゃんが私たちの手中にあるかぎり、あちらは決して全員揃うことはないんだから)
【湖畔の王宮】
絵里「おばあさまの体調が良くないって聞いたから、急いで駆け付けたのよ」
亜里沙「え?おばあさまは元気だけど…どうしてお城に?」
絵里「だって、おばあさまはこの国の女王でしょ。もし体調が悪くて国政に差し支えるなら私がお手伝いしないといけないじゃない?」
亜里沙「えぇ!?…じゃあ、私たちって王族なの?」
絵里「そうよ。…亜里沙、おばあさまから何も聞いてないの?」
亜里沙「聞いてないよー><」
絵里「そう…亜里沙には負担をかけたくなかったのかもしれないわね。まだ一国の責任を負うには若すぎるし…」
雪穂(亜里沙がお姫さまかぁ…なんか納得しちゃうなぁ)
亜里沙「それより、屋上を使わせてもらってもいい?」
絵里「ええ。構わないけど…何をするつもり?」
のぞりん「」ブフッ
絵里「え?…な、なによ?」
花陽「ふふふ。じゃあ、行こっか…」
【屋上】
花陽「…」オリオリ
花陽「ふー。完成♪」
美術部「見事ね…芸術作品だわ」
凛「それだけじゃないにゃ。かよちんの折り紙はすごいんだよ♪」
美術部(凛ちゃん…かわいい///)キュン
絵里「巨大な紙飛行機…にしか見えないけど」
花陽「希ちゃんのスピリチュアルパワーを注入してくれる?」
希「いいよ。…はい、ぷしゅっ♪」
花陽「雪穂ちゃん。風の術でどれくらい重い物を飛ばせるかなぁ?」
雪穂「え。それって、どういう…」
花陽「人。六人分と、この紙飛行機。できる?」
雪穂「私一人じゃ無理かも…亜里沙と一緒なら」
絵里「亜里沙も?」
雪穂「はい。術を覚えてなくても、まれに潜在的に法力を持ってる人がいるんです」
亜里沙「雪穂が教えてくれたら、すぐ使えるんだよね?」
雪穂「うん。亜里沙は私の真似をすればいいよ」
【港町・北部】
英玲奈「フフフ…矢を使い切っては、自慢の弓も役に立たないだろう」
海未「くっ」
ツバサ「私たちの本気のダンスなら、矢を避けるくらい造作もないの」
にこ「飛び道具がダメなら力押しよ!ワニのパワーを甘く見ないでくれる!?」ブン
あんじゅ「うふふ。矢が当たらないのに、ワニさんのしっぽが当たるわけないでしょ?」
穂乃果(外で何が起きてるんだろ…閉じ込められて出られないし、不安だなぁ)
穂乃果(こんなときは…歌おう!)
穂乃果「だってー可能性感じたんだ♪」
【上空】
絵里「この方角で合ってるの!?」
希「ウチの占いによれば…たぶん」
凛「肝心の穂乃果ちゃんはどこなのー!?」
雪穂「ちょっと待って。…何か聞こえない?」
\レッツゴー!ドゥー!/
のぞえりありゆきりんぱな「いた!!」
【神殿】
真姫(ダメだわ。攻撃しても当たらない…こっちの体力ばかり消耗していく)
ことり(せめて九人そろってれば…)
ゴォー
ことうみにこまき「…ん?」
凛「突撃にゃー!」
英玲奈「な…何だ!?」
ズドーン
ツバサ「ちょっ…嘘でしょ!?」
あんじゅ「あれって…まさか、紙?」
海未(どう見ても巨大な紙飛行機…が、石でできた神殿に刃物のように突き刺さって…)
穂乃果「な、何が起きたの!?」
雪穂「お姉ちゃん!無事!?」
穂乃果「雪穂!亜里沙ちゃんと行かなかったの…?」
雪穂「お姉ちゃんを助けに来たんだよ!みんなで!」
絵里「いたたた…無茶過ぎるわよ…」
花陽「目が回る…酔った…」グッタリ
希「いてて…何も壁を破壊しなくても入れる方法あったやろ?折り紙で鍵を作るとか…」
凛「穂乃果ちゃーん!」
穂乃果「みんな…来てくれたんだ!?」
【外】
雪穂「お姉ちゃんは返してもらったよ!」
えれあんツバ「!」
ことり「これで九人♪」
希「いや、十四人や」
ゆきあり「えっ」
ヒフミ「私たちを入れて!」
穂乃果「ヒデコ!フミコ!ミカ!」
英玲奈「これは…さすがに分が悪い」
ツバサ「ずるいわよ!><」
雪穂「先にズルい手を使ったのはそっちでしょ!」ベー
あんじゅ「執念というか…とんでもないシスコンね」
雪穂「大きなお世話!」
ツバサ「これで勝ったと思わないでよ!人数が同じなら私たちの圧勝なんだからね!」
英玲奈「戦術的撤退だ」
あんじゅ「またね。穂乃果ちゃん♪」
スタコラサッサー
海未「逃げた…」
雪穂「二度と来るなー!」バサー←伯方の塩
穂乃果「雪穂って…シスコンなの?」
雪穂「うぐっ」
穂乃果「えーと…雪穂の姉妹って私だけだよね?」
雪穂「ま、まあ…そうだね」
穂乃果「それって、雪穂が私のこと大好きってことでいいんだよね?」
雪穂「そんなの…当たり前でしょ」ギュ
穂乃果「えへへ。嬉しい///…私も雪穂のこと大好きだよ♪」ギュー
雪穂「お姉ちゃん///」
亜里沙「Хорошо♪」
【王宮】
祖母「あのA-RISEに勝ったのね。えーと…」
亜里沙「μ'sだよ♪」
祖母「そうそう、ミューズ」
絵里「はい。おばあさま…音ノ木坂は私たちが守ってみせます!」
祖母「ふふふ。頼もしいわね…でも、エリーチカ?」
絵里「はい?」
祖母「九人…いえ、十四人でようやく三人に勝てる。国を一人で背負うのは難しいわ」
絵里「それは…わかっているつもりです」
祖母「支えてくれるパートナーが必要よね?」
絵里「えっ」
祖母「エリーチカにもお嫁さんが」
亜里沙「亜里沙がいるよ!」
絵里「え!?」
亜里沙「亜里沙が、お姉ちゃんのお嫁さんになるの!」
絵里「ちょっ…亜里沙!?」
祖母「あらあら。これは…姉妹でも結婚できる国にしないといけないかしら?」
絵里「おばあさま!?」
【八月・絢瀬家】
絵里「やっとクリアしたわ…」
亜里沙「お姉ちゃんおはよう…またゲーム?」
絵里「え、ええ。…RPGって長いから、まとまった時間がないと進まないじゃない?夏休みにやるのが一番かなって」
亜里沙「亜里沙は、もっとお姉ちゃんと一緒にいろんなところへ行きたいわ。せっかく日本へ来て初めての夏休みなんだし…」
絵里「亜里沙…そうね」ナデナデ
亜里沙「お姉ちゃん♪」ギュー
絵里(夏休みの過ごし方は、人それぞれ…みんなで賑やかに。時には好きな人と二人きりで)
亜里沙(長いようで、あっという間に終わっちゃう…でもそれって、楽しいから。だよね?)
おわり
最近わざとNG回避するスレタイにしてるの?
どっちにとっても損だからNGしやすいタイトルにしてくれよ
乙
絵本みたいな世界観と思ったらゲームオチだったか
関連スレなら一つのスレでずっとやってろって何回言われたら分かるんだろうね?
わざわざリンクまで貼っつけて保守するなって何回言われたら分かるんだろうね?
面白くないのは別に構わないから一つのスレにいい加減まとめろガイジ
正規表現に
.月.日
.月..日
.月...日
で、月の前に任意の1文字かつ月と日の間に任意の1から3文字が入るものをまとめてNG出来るからこれでほとんど潰せる
そうするとこいつ穂乃果「八月」絵里「十日は」みたいに回避して来そうだけどそれはそれで.月」とか.月.」とかでNG出来る
参考まで