まぁ、聞いて欲しい。
ゆっくり書くから、聞いてくれ。
まずスペック
俺
今高校生。
女として生きるのも男として生きるのもどっちも違和感を感じるお年頃。
一応戸籍上は女。
Kちゃん
同級生の子。
俺とは違う県に住んでる
バリバリ女の子でロリ服とか好き
ガチメンヘラ
俺とKちゃんが出会ったのは中学一年生の頃。
俺が親に交渉して「テストで学年上位を取れたら携帯を買ってあげるよ」と言われたから学年トップスリーをとって買ってもらって舞い上がってた頃。
その頃はちょうど春だった。
その頃俺はジョジョに激ハマりしていて、その頃はやっていたLINEでの「なりきり」というものにハマっていた。
(そのキャラになってトークをし合うグループ、またはその行為のことを指す)
ジョジョの作者様には本当に申し訳ないんだが、ジョジョでもやらせてもらったし、俺のオリジナルキャラクターでもやっていた。
その頃は本当に厨二病全開だったと今でも思う。たった数年しか経ってないけどな。
でだ、その頃はネット上での「恋人さん」を作るのが流行っていた。今で言う大切さんとかそういう感じ。
で、M子にそういうのをやらないかって言われて了承した。
俺はあんまり人と関わってくるというか、そうやって好かれることがなかったので(小学の時は虐められてた)すごく承認欲求が満たされて嬉しかった。
でも俺にとっての「恋人さん」の重みと彼女にとっての「恋人さん」の重みが違くて。
まぁ、俺からやめようって言った。なんか虚しくなってきてね。で、その一部始終をKちゃんがみてたんだ。(共通の友達だったっぽい)
俺に話しかけてきた。今でも鮮明に覚えてる。
「可哀想だね、君」
「なにがー?」と俺が聞くと
「あんなやつと関わらない方が良かったのに。俺ちゃんは可哀想だね」
って帰ってきた。
女の闇なんて見たくもなくても見てきたし、むしろメンヘラは苦手だからそれでいいと思ってたんだが、その事をわざわざ俺に伝えてくるのが不思議でならなくて
「そうかなw」
って返事した。
それがきっかけで、同じなりグループに入ると挨拶するようになった。個チャ(個人LINE)で、少なからずそのなりきりについてだが話をするようになった。
で、俺が集団でなりきりをするのに飽きるのは半年とかからなかった。人が集まらなければ出来ないし最終的には2人、3人しか話せなくなって最終的には誰も話しかけないって言うのが多すぎて、少し疲れた。
だが、なりきりというものを通してオリジナルキャラクターを作って命を吹き込むのは楽しいと気がついたから、続けることにした。
だけど、なりきりをするにはもう1人必要だった。その時にKちゃんが思い浮かんだ。
オリジナルキャラクターでやらない?と俺がもちかけると「いいよー!」と二つ返事で了承してくれた。
その他の人に個人でやっていた人はいるんだが、もう一切話さなくなってLINEを消した。
なりきりをするのと同時に、お互い普通の会話が増えた。女の子だから優しく話すとはいえ俺もかなり心を開いていて、ネット関係上では唯一俺の本名を教えた。
本当は危ない行動なんだが……それがなかったら今はないし、後悔はしてない
関係を持って……3ヶ月ほど?で「恋人さん」にならないか。ともちかけてきた。
俺はどうせあんまり続かないだろうし、それくらいいいかと思い、いいよ、と了承した。
アイコンは同じものかペアルックにして、たまにペアネーム。と、厨二病臭いものを沢山やった。俺が飽きてくる頃に新しいものを持ちかけてくるから飽きることは無かった。
今思うとその能力すごいと思う
段々となりきりよりも日常の話が増えた。
お小遣いは何円持ってるだの、Kちゃんは社長の娘だの、テストが嫌だの全て愚痴を聞いたりたまに俺が言ったりした。
この頃からかな。なんか関係性が変わってきたのは
少し戻る。
Kちゃんと知り合った頃、俺には好きな人がいた。それがS君。
同じ地区で、足も早くて、話が合う良い奴だった。小学校の頃から登下校を共にしていたこともあり、すごく仲が良かった。煩いのは玉に傷だが、俺自体、小さい頃から腹式呼吸だったため凄くうるさい。だから気にならなかった。
だが、家の環境があまり良くないらしく、中学に上がると段々と不登校になっていった。
元々一緒に投稿するくらい仲が良かったのは先生も知ってるため、俺に学校に来るように催促と、プリントを届けてくれと頼まれた。
俺はあんまり嫌だなぁと感じない人間なので二つ返事で了承した。学校に行き、部活をして、友達と1時間ないくらい話してから、S君の家に行って1時間ないくらい話して帰る日が続いた。
たまに帰るのが遅すぎて怒られたため、時間は気にしつつだが、かなり長くS君と話していた。
おばあちゃんにもおれは認知されていて、「あら俺ちゃん!お菓子食べていきな!」と気に入られていた。
そして、S君とたまに土日遊ぶようになった。携帯番号も教えて、夜に電話かかってきて一、二時間通話や、寝落ち通話も何回かした。
気づけばそこで気がつくべきだったんだよな。
S君とはその関係のまま夏休みに入った。夏休みに入って、渡すものがなくなっても俺は電話で呼ばれれば遊びに行った。1週間に3日という日もあった。
家が近いのもあって朝9時から夕方5時半頃まで遊んでいた。
俺がその家に行ってやることは何もない。ただ2人で勉強したり他愛のない話したりゲームしたりテレビ見てたりしてた。
むしろ俺はゲームが苦手(小学一年生にガチで負けるレベル)なため、それくらいがちょうど良かったのもある。
ある日、帰ろうとした時にふと好きな人を聞かれた。
まさか本人に好きなのはS君なんて言える訳もなく、俺は言葉を濁して帰った。
確か「秘密。」だの、「お前には教えね」だの言ってた気がする。
家に帰って、珍しくドキドキしている自分がいた。恋愛系漫画なんて見ないから、好きな人に言い詰められるってこういう感覚なんだなって改めて感じた。
その日から帰る時に好きな人のことを話すようになった。
あいつも俺が教えるまで教えないとかほざいているから教えろや!!!と思いながら好きな人のことを聞いていた。
「真面目で、優しくて、努力家で、可愛くて、素直」みたいなことを言っていた。
真面目→宿題出さなくなってきたから違うな
優しい→優しさなんて微塵ももちあわせていない
努力家→いちばん嫌いなのは努力、で、2番目が頑張るだぜスカタン!!
かわいい→俺を可愛いと言ったやつは目を焼き潰した方がいい
素直→平然と嘘をつくからパス
みたいな感じで俺は一切当てはまらないと思った。
むしろ俺の親友が優しくて顔良くて努力家で素直だなぁと思ったからあいつが好きなのか……そうか……とひとり落胆した。
まぁでも友達としても信用していたから、俺は遊びに行った。
その次から、S君は俺の帰路に着いていくのが日課になった。
好きな人は〜?と聞かれることも多いが俺は「バカでアホでマヌケでイケメンだよ」としか伝えてなかった。事実だ。
ある日、一緒にせーので好きな人を言おうと言う雰囲気になった。
なぜ、そうなったのかもう覚えてない。その日は用事があり、午後7時半頃にお邪魔していたためとても周りが暗かった。
S君のかおもみえず、というかろくに顔も合わせられなかった。とりあえず家の近くまで来て、そろそろありがとう。と手を振ろうとすると急に腕を引っ張られて引き寄せられた。
力が強くて痛かったけどなんも言わなかった。「どしたん」としかいわなかった。
少しの間を開けて、「今日は逃げないで。」と釘を打たれた。
反論したかったけど言葉が浮かばなかった。ただ、夏独特の虫の声しかしなかった。
俺が「引くなよ」と言うと、「逆に引かれそう」と言われた。
初めてあんなにドキドキしたと思う。暑さと、恥ずかしさで手汗が凄かった。
何分だったか分からないが、少したったあと、「せーの」とS君が言った
俺は一拍置いてから「S……」と呟いた。
それをにやにやして聞くS君。
「お前まじかよ!!こっちにだけ言わせんの!!??おまえっ、、ぉ、おまっ、おまっ、、」
いや。控えめに言って死にそうだった。
もうその時俺は不貞腐れていて「振るなら早く振れよ」と吐き捨てていた。
急に俺を引っ張って俺よりも遥かに高い身長を腰を曲げて低くして俺の耳元で「俺ちゃんが好き」と言った。
その時俺の脳内は一瞬でパーリナイした。
「え?俺のことが好き?」
「なわけないだろおまえちゃんとみろ、こいつの顔は?」
「普通……いや中の下だと思われます大佐」
「そうだ、そしてお前は?」
「控えめに言ってクソブスだと思われます少佐」
「そうだ。それが分かればよろしい。」
みたいな会話を脳内でやっていた。それくらい現実味がなかった。なにしろこんなくさい告白方法だったからな
俺がぽかんとしていると
「俺ちゃん可愛すぎ」と抱きしめられた。
お前少女漫画の読みすぎだわ。って言いたかった。言えなかった。言葉も出なかった。
ただ、俺の手はあいつの背中に回っていた。
あいつは俺の背中を子供をあやす様にトントンして「明日また遊ぼ。」とだけ述べて家に帰ってしまった。
あまりにも早い展開に俺が1番驚いていたし、好かれることがこんなに嬉しいのか、と少し喜んだ。
多分顔真っ赤だったと思う。
その日の夜に、お風呂から上がった頃に電話がかかってきた。9時半くらいだったと思う。
「よーっす」
あんまりにも変わらない反応に笑うと「やめろよ、恥ずかしいんだから」と笑われた。
明日遊ぶ時間などを決めてまた他愛のない話をした。でもお互いなんか距離があって今思うウブだったなぁと思う。
S君はその日から電話の最後に「大好きだよ」と言ってから切るようになった。
正直ここから
……?とはなってた。でもその頃「女々しい男の子もいる」ということを知らなかった俺は、疑問を持ちながら、お互い好きだし付き合うか、って付き合うことになった。
付き合ってもやることは同じ。だけどたまに暇になると抱きしめてくれる。俺らはそこまでしか行かなかった。
ガキの恋愛なんてそんなもん