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【ワシントン=河浪武史】米上院本会議は13日、トランプ大統領が財務長官に指名したスティーブン・ムニューチン氏(54)の就任を53対47の賛成多数で承認した。
ムニューチン氏は米証券大手ゴールドマン・サックスの元幹部で、選挙戦中は陣営の資金調達を担当した。
トランプ政権は約30年ぶりの大規模な税制改革に取り組むとしており、ムニューチン氏を軸に議会と調整を急ぐ。
閣僚承認は7人目。主要閣僚である財務長官が、政権発足から3週間以上も承認されないのは極めて異例だった。
オバマ前大統領が指名したガイトナー氏も納税漏れ問題で手続きが遅れたが、政権発足7日目に就任している。
ムニューチン氏はヘッジファンド運営時に金融機関への投資で多額の利益を得たことなどが問題視され、野党・民主党が強く反発していた。
ムニューチン氏はトランプ政権が公約としてきた法人税と個人所得税の大幅減税の調整に入る。
トランプ政権は35%の連邦法人税率を15%まで下げると公約してきたが、議会共和党は20%に下げると提案する。
議会側は輸出の課税を免除して輸入は課税強化する「国境調整」の導入も検討しており、法人税改革が最大の焦点となる。
通貨政策も注目だ。ムニューチン氏は「長期的には『強いドル』が重要だ」と主張し、歴代政権が敷いてきたドル政策を堅持する考えをみせている。
トランプ氏は「ドルは強すぎる」と通貨高へのけん制を繰り返しており、為替相場の安定には政権内での意思統一が必要になる。
経済閣僚人事では商務長官に指名されたロス氏、米通商代表部(USTR)代表に就く予定のライトハイザー氏が、それぞれ議会の承認を終えていない。
幹部級人事の任命も遅れており、税財政やインフラ投資、通商などトランプ氏が公約する主要経済政策は具体策づくりに出遅れている。