
「緊急性も必要性もない」のになぜ、自民党は憲法9条を変えたいのか。推進本部長が語ったその理由
「自衛隊は平和国家の象徴で、国民の祈りを背負っている」。自民党の保岡興治・憲法改正推進本部長が語った「改正の理由」とは。
2017/06/21 17:19
籏智 広太 BuzzFeed News Reporter, Japan
自民党憲法改正推進本部は6月21日午前、全体会合を開き、憲法の改正議論を本格的にスタートさせた。年内の改正案作成を目指す構えだ。
日本外国特派員協会ではこの日の午後、保岡興治・憲法改正推進本部長が会見を開いた。
安倍晋三首相が示した9条改正案に対し、特派員からは「(自衛隊の)実態が変わらないならば必要性はあるのか」との厳しい指摘も飛び出したが、
保岡本部長は「1回目の9条改正としては、誠に正鵠を得ている」と理解を示した。
※中略
特派員からは、9条に関する質問が相次いだ。たとえば、石破茂・元幹事長が安倍首相の方針に反対していることに関する質問もあった。
9条2項には「陸海空軍その他の戦力は保持しない」「国の交戦権は認めない」と書いてあり、自衛隊を合憲化するうえで「矛盾が固定化する」という意見だ。
この問いに対する保岡本部長の答えは「諦める」だ。
「9条は自衛権を放棄したような内容になっています。要するに自衛隊は陸海空軍ではなく、戦力でなく、交戦権がないと言っているに等しい。
いまも一見、矛盾しています。矛盾を矛盾としないとする解釈はそのまま残さざるを得ません」
「石破さんの考え方を入れて改正するのであれば、友党の公明党は合意形成に参加しないでしょう。
そうすると最初から3分の2を形成できないので諦める。難しいと、私は思っています」
別の特派員からは「実態として自衛隊が変わらないのであれば、なぜ改憲するのか」。そんな厳しい質問も飛び出した。保岡本部長は言った。
「おっしゃる通り、自衛隊の実態は変わらない。政府の合憲という解釈も変わらない。
自衛隊の果たす役割も機能も、平和安全法制(安全保障法制)で整えた以上のものではない」
「緊急性があるか、法的な必要性があっての改正かと言われると、それはありません。
しかし、日本国の防衛の実力組織である自衛隊が、憲法にないことこそ異常なことです」
一拍おいて、保岡本部長は自らの思いをこう語った。自衛隊は「平和国家の象徴」だという。
「自衛隊は単なる実力組織ではなく、平和国家である日本の象徴であり、国民の祈りを背負ってるものだと私は思います。
そういう自衛隊の存在意義を含め、国民誰一人、違憲であると言えない状況をつくることは、憲法改正において大いに意義のあることだと考えます」
※以下略
https://www.buzzfeed.com/jp/kotahatachi/article-9-1