【社説】日本のミサイル防衛強化、中国の自業自得
陸上配備型「イージス・アショア」を導入、対北朝鮮で米国と連携強化
海上自衛隊のイージス艦「きりしま」(2009年撮影) PHOTO: JUNJI KUROKAWA/ASSOCIATED PRESS
2017 年 12 月 21 日 14:16 JST
日本政府は19日の閣議で、陸上配備型のミサイル迎撃システム「イージス・アショア」と、米国と共同開発した新型迎撃ミサイルの導入を決定した。
これにより日本の領域を狙う北朝鮮ミサイルに対する迎撃能力が強化される。
また、米国を標的にしたミサイルを日本が撃ち落とすことも可能で、日米両国によるミサイル防衛態勢の一体化へ向けた地ならしとなる。
北朝鮮はこの4カ月間に2回、日本の上空を越える弾道ミサイルの発射実験を行った。その際、日本国内では警報システム「Jアラート」が鳴り響いた。
これが後押しとなり、かねて防衛力強化を訴えてきた安倍晋三首相は10月の総選挙で圧勝した。
首相は防衛費、特にミサイル防衛予算の増額に向けて国民の負託を改めて得た格好だ。
首相は先週、防衛力整備の基本方針となる「防衛計画の大綱」を見直す方針を表明した。日米両国のミサイル防衛システムで双方のデータを共有できるように見直しが進む可能性がある。
そうなれば、北朝鮮ミサイルの脅威に対する防衛能力がより向上することになる。日本は現在、弾道ミサイルを撃ち落とせるイージス艦を6隻保有している。
だが、これらは適切なタイミングで適切な場所に配備されていなければならない。一方、今回日本が導入を決めた2基のイージス・アショアはいつでも迎撃ができる。
仮に日本が新型迎撃ミサイル「SM6」を保有すれば、巡航ミサイルの迎撃も可能となる。
こうした防衛力の強化は中国を怒らせることになろう。だが中国政府指導部の面々にとってそれは自業自得だ。
中国は北朝鮮のミサイル開発を初期段階で支援し、数十年にわたり国連で北朝鮮を守り続けてきた。
そうすることで、戦後日本に根付いていた強い軍事力へのアレルギーを消し去るような脅威を作り出したのだ。
小野寺五典防衛相は今月、日本は北朝鮮の弾道ミサイル発射基地を攻撃できる巡航ミサイルを購入すると表明した。そうした攻撃能力を持つことは数年前にはほとんど考えられなかった。
だが北朝鮮の脅威と尖閣諸島を巡る中国の強気な態度のおかげで、巡航ミサイルの購入は国会で承認されそうだ。
中国は今年、地上配備型ミサイル迎撃システム「THAAD(サード)」の配備を決めた韓国に対してかんしゃくを起こした。
THAADはイージス・アショアより能力は劣るものの、米国の防衛システムと統合が可能だ。中国はこうした純粋に防衛的な能力を恐れる必要はない。
しかし、仮にこの流れを止めたいと望むのであれば、北朝鮮が核ミサイルで世界を脅すのをやめさせる必要がある。
http://jp.wsj.com/articles/SB11070217722261694869804583588744233204514