アザラシ歓迎ムード続く…目撃から1か月 : 地域 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
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先月17日に能代市二ツ井町の米代川中流にゴマフアザラシが目撃されてからもうすぐ1か月。
愛らしい様子で一躍、町の人気者となったものの、翌日から姿を見せなくなり、地元の関係者は残念がっている。
一方で、新たなマスコットキャラクターとして活用しようという動きもあり、歓迎ムードは続いたままだ。
最初の目撃は17日午前9時頃。
この日は夕方まで、河口から約25キロの川の真ん中にある岩の上で、目を細めて寝そべったり、大きな目で周囲を見回したりして、住民らを楽しませた。
地元の歓迎熱は一気に高まった。
二ツ井町商工会は翌日には大きく引き伸ばした写真を現場近くに貼り出して「アザラシ出現!」とPR。
先月19、20日には見物に訪れた人へコーヒーを振る舞った。
近くの恋文商店街も週末に見物客へ豚汁を振る舞ったほか、同商工会から提供された写真を大きくプリントし、加盟約60店舗に配布した。
関係者の期待とは裏腹に、翌日からアザラシは姿を見せなくなった。
同商工会の呼子晃大よぶこてるお事務長は「あと数日いてくれれば、観光振興につながる仕組みづくりに取り組めたのに」と残念がる。
ただ、撮影した写真が豊富にあるため、同商工会ではアザラシの写真をあしらったポストカードを300枚作製。
今後、商店街の販促キャンペーンなどで活用する予定だ。
担当者は「たった1日だったが、市民の多くが親しみを感じている。町のシンボルとして活用していきたい」と話す。
商店街で営業する「レストラン真珠」では、商店街から配布された写真とともに、店で購入したぬいぐるみを飾っている。
店主の森田玲子さん(72)は「久しぶりの明るい話題でみんな喜んでいた。また帰ってきてくれればうれしい」と話していた。(藤本宏)
アザラシが再び訪れる可能性はあるのだろうか。
男鹿水族館GAOの田口清太朗さん(32)は「可能性はゼロではない」と話す。
ゴマフアザラシはオホーツク海などが主な生息地だが、北海道沿岸でも暮らす。
県内でも雄物川や米代川の河口でたびたび目撃例があり、田口さんは「河口付近は海水と淡水が混じり合って餌が豊富。回遊しているアザラシが餌を求めてさかのぼってきたのでは」と推測する。
千葉県鴨川市の海岸では2004〜05年に同じアザラシが3回現れて人気者となったケースもあるという。
田口さんは「餌が豊富な川であれば、再び戻ってくる可能性もある」と語った。
同館ではゴマフアザラシを飼育しており、田口さんは「アザラシがいなくなって寂しく思っている人は、ぜひ水族館へ来てほしい」と話している。