【ソウル=境田未緒】韓国最高裁は一日、宗教上の理由で入隊を拒否して兵役法違反に問われた男性の上告審で、
「良心的な兵役拒否は兵役法に規定された正当な事由に当たる」として二審の有罪判決を破棄し、審理を高裁に差し戻した。
二〇〇四年に宗教的、良心的理由の兵役拒否は正当な理由ではないとした判決を覆す判断で、徴兵制に影響を及ぼすとみられる。
韓国では、健康な男性に約二年間の兵役義務がある。
兵役を拒否した場合、軍隊以外で社会奉仕活動に従事する「代替服務制」の規定もない。
被告男性は宗教団体「エホバの証人」の信者で、一三年に徴兵通知を受けたが宗教上の理由で拒否。
一審で懲役一年六月の判決を受け、二審でも敗訴した。
最高裁は多数意見で「刑事処罰などを通じて兵役義務の履行を強制することは良心の自由に対する過度な制限になる」と指摘。
宗教的良心的兵役拒否を「正当な事由」と認めた。審理は裁判官十三人で進められ、反対意見は四人だった。
韓国の聯合ニュースによると、最高裁では二百二十七件の同様の訴訟を審理中。韓国憲法裁はことし六月、
「代替服務制」の規定がない兵役法自体が拒否者の良心の自由を侵害するとして違憲判断を示し、改正を促した。
ただ韓国内には代替服務は「兵役逃れにつながる」と懸念する声も強く、今後論議が続きそうだ。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201811/CK2018110202000149.html