
安倍官邸、対応に苦慮=公明と維新の争いで−大阪ダブル選
大阪都構想をめぐる地域政党「大阪維新の会」と公明党の協議が決裂し、大阪府知事・市長のダブル選が確実となり、首相官邸が対応に苦慮している。
4月の統一地方選と衆院2補選、夏の参院選に目を向ければ、公明党との連携は一段と重要性を増している。
一方、安倍晋三首相が悲願とする憲法改正では、日本維新の会の協力が不可欠。
首相は維新と気脈を通じる菅義偉官房長官ともども、公明と維新の板挟みになった格好だ。
「政府としてダブル選のコメントはすべきではないと思う」。菅氏は8日の記者会見で、ダブル選の是非について問われたが、深入りを避けた。
安倍官邸はこれまで、維新と良好な関係を維持してきた。首相と菅氏、維新代表の松井一郎府知事、前代表の橋下徹前大阪市長は、定期的に食事を共にする間柄。
6月の20カ国・地域(G20)首脳会議の大阪開催や、2025年の国際博覧会(万博)の大阪誘致でも、政府が実現に尽力した。
首相が維新への配慮を重ねるのは、改憲実現には衆参両院で3分の2以上の賛成が必要なためだ。
参院では与党だけで3分の2に届かず、改憲に積極的な維新は首相にとって重要なパートナーと映る。
維新は、政権に対して「是々非々」で臨む姿勢を強調し、立憲民主党など主要野党と一線を画してきた。
環太平洋連携協定(TPP)関連法や「働き方改革」関連法など重要な与野党対決法案の採決では賛成票を投じており、与党幹部は「維新は補完勢力だ」と言い切る。
ただ、自民党の地元組織は維新と対立しており、二階俊博幹事長は松井知事を「思い上がり」と突き放す。
4月21日には参院選の試金石となる衆院大阪12区補選の投開票が控える。
もう一方の沖縄3区補選は苦戦が見込まれるだけに、首相周辺は「絶対に落とせない」と危機感を隠さない。
「選挙イヤー」を乗り切るには、公明党の集票力は必須だ。
「官邸は口を出さない方がいい」。ジレンマに陥った政府高官の一人はこう語り、ダブル選を静観する考えを示した。
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