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竹内 「けんかをやめて」がリリースされた直後、たまたま達郎や(筒美)京平先生、うちの小杉(理宇造)社長たちとニューヨークへ行ってたんですね。
そのとき京平先生が「今週のチャートに入ってる奈保子ちゃんの曲、あれいい曲だね」と言ってくださったんです。
うわあ、京平先生に褒めていただけたのなら本望だなあと思ったのを、今でもすごく覚えてますね。
クリス もちろん曲もいいけど、あの詞ですよね。
竹内 そうですね。詞は、一言で言えば男の子を二股かけてしまってごめんなさい、というお話。
ひどいですよね(笑)。それなのに、奈保子ちゃんが歌えばかわいくて自然かなという。
クリス ええ、本当に自然ですよね。やっぱりモテる女の子なわけじゃないですか。
それでエグく言うと“こっちのコマ”と“こっちのコマ”に取り合いをされるっていう。
竹内 そうそう(笑)。私がもともと幼い頃に聴いてた、洋楽ポップスを訳詞したティーンエイジ・ラブソングの中には、そんな「どっちのボーイフレンドがいいのかしら」みたいなたわいのない歌詞がたくさんあって。
それを浴びるように聴いて育ったので、ああいうテーマはよくある種類のものだったんです。
でも、あとで自分で歌ったときにさすがに「これって何様のつもり?」って気持ちにはなりましたけどね(笑)。
まあ、歌の中の話ですから。でも、奈保子ちゃんが歌うと、ちょっとワガママな女の子の揺れてる気持ちが自然に聞こえてくる。
クリス これで曲調が「Hey! Baby」みたいだったら60年代のアメリカンポップスになるんですよ。
だけどこういうサウンドだから、何様だろうって感じる人がいたのかもしれませんね。しかもまりやさんの歳でこういう曲を書けちゃうっていう。
竹内 私の曲の中では“何様ソング”の代表みたいなことになってますよね(笑)。
確かに、「REQUEST」(1987年に発売されたセルフカバー入りのアルバム)で歌うのにちょっと抵抗があったのはこの「けんかをやめて」だったんです。
メロディは今でも大好きなんですけどね。少女の心の機微が伝わる奈保子ちゃんの歌は、改めて聴いてもやっぱり上手だなあと思います。
クリス 上手ですよね。「♪ごめんなさいね 私のせいよ」、あのあたりの抑揚っていうか、あれはすごいです。
竹内 ささやくように歌ったり、張って歌ったりね。あの曲、歌唱指導は全然してないんですよ。
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