中国四川省眉山(メイシャン)市に住む12歳の少年ビンヤン・シゥー君は、障害のある親友であり同級生を6年間に渡り、学校内の移動をおんぶして手伝ってきた。
その親友は重症筋無力症(じゅうしょうきんむりょくしょう)という筋肉の力が弱くなる難病を抱えているヅィー・チャン君だ。
本来ならば学校生活を楽しむことが難しいであろうヅィー君がみんなと楽しく過ごせたのは、親友ビンヤン君の友情のたまものであろう。
小学校1年生の時から6年間、背中の親友と共に
小学校1年生の時に出会ったという2人は、晴れの日も雨の日も二人三脚ならぬおんぶ形式で共に過ごしてきた。
ヅィー君の両親は彼を学校に送り届けることはできるけれども、校内の移動やトイレの介助はできない。
その役目を親友のビンヤン君がかって出てくれたのだ。空になった水筒に水を入れたり、ランチを取ってくるなど、自分にできることはすべてやってきた
3年ほど前まで、ヅィー君を助けるビンヤン君の手伝いをしていた友人もいたそうだが、塾や勉強などの時間が必要になり手伝えなくなってしまった。
こうしてヅィー君とビンヤン君はコンビとなっていった。
■親友に対して当たり前のことをしているだけ
ビンヤン君はヅィー君のお世話をすることを全く苦にしていない。助けてあげているとも思っていない。それをあたりまえのこととして行っているのだ。
これまでビンヤン君は周りの友人はもちろん母親にも一言も愚痴ったり、自分の行いを誇ったりしたことはないという。
ビンヤン君はインタビューで、「ヅィーは25キロ、僕は40キロ。ヅィーよりも僕の方が体が大きいからヅィーを運ぶことは全く問題ないんだ。」と語っている。
■母親すら息子の行為を知らなかった
事実、ニュースになるまで母親はビンヤン君のこの心優しい行為を知らなかったという。ビンヤン君は1日の出来事を逐一お母さんに報告するタイプではないらしい。
教師たちはビンヤン君を「非常に落ち着いた勤勉な少年だ」と話している。
心優しき親友を持ったヅィー君は「ビンヤンには本当に感謝しています。ビンヤンは僕を運んでくれたり、いつもお喋りしたり遊んだりしてくれて、おかげで楽しく過ごしてます。」とコメントしている。
ビンヤン君には「自分が介助してあげている」という気持ちはさらさらないのだ。親友が助けを必要としている、それだけでビンヤンを行動に移すには十分な理由だったようだ。
少しシャイだけど、誰よりも心優しく頼れるビンヤンは、大きくなったら「ボランティア活動などを通じてもっとたくさんの人を助けたい」と語っているという。