俺は、本物が欲しい−。「うわべの関係」ではない、「本物」を追い求める高校生たちの青春群像劇を描いたライトノベル「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」(小学館ガガガ文庫)が完結した。
主に若い読者の共感をつかみ、累計発行部数は全世界で1千万部を突破。「きっちり書ききったな、と思います」。作者の渡航さん(32)が、「俺ガイル」「はまち」の愛称で親しまれる同作と歩んだ日々を振り返った。
(文化部 本間英士)
足かけ9年越しの完結
もういいから、お前らさっさとラブコメしちゃえよ−。ちっとも進展しない主要人物3人の関係に、多くの読者がやきもきしたはずだ。
平成23年の第1巻発売後、これまでに短編集を含め17冊が刊行された「俺ガイル」。昨年11月刊行の14巻でついに完結した。
「(読者には)長い間お付き合いいただき、感謝しかありません。現実がこんなに面倒くさいのに、なぜ文章量もキャラクターも面倒くさいこの作品を読まないといけないのか、というのが本音だったと思います。
ぶっちゃけた話、書く方も面倒くさくて…(笑)。企画段階から足かけ9年ほど。きっちり書ききったな、と思います」
同作の主人公は、自虐的な発想と行動ゆえに友達がおらず、「(独り)ぼっちこそ最強」という間違った悟りを開いた男子高校生、比企谷八幡。この八幡が2人の女子と出会ったことから、物語が動き出す。
ヒロインの1人は才色兼備の美少女だが人付き合いが苦手な雪ノ下雪乃。
もう1人は、明るく魅力的だが周囲の空気を読みすぎる由比ヶ浜結衣。
この2人とともに、教師から強制加入させられた「奉仕部」で人助けをするうちに、八幡の意識は変わり始める。林間学校、文化祭、修学旅行…。「俺ガイル」は、彼らの1年間の軌跡を丹念に描いた作品だ。
https://www.sankei.com/smp/premium/news/200105/prm2001050005-s1.html