【シリコンバレー=白石武志】米テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は11日、操業再開時期をめぐって地元自治体と対立していた米カリフォルニア州内の電気自動車(EV)工場が同日から生産を再開すると明らかにした。
工場が立地する地元アラメダ郡は新型コロナウイルスの感染拡大リスクなどを理由に現時点で再開を認めておらず、行動制限の命令に背いた格好だ。
マスク氏は11日、ツイッター上に「テスラは今日、アラメダ郡の規則に反して生産を再開する」と投稿した。
米メディアによると、同郡フリーモント市にあるテスラのEV工場では11日朝から従業員らが出勤を始めていた。マスク氏は「誰かが逮捕されるとしたら、私だけであることを願う」とも書き込んだ。
生産を再開する工場はテスラの米国内の唯一のEVの組み立て拠点で、新型コロナの影響で3月下旬から稼働を一時止めていた。
同社は5月8日にカリフォルニア州が行動制限を一部緩和したことを受けて生産を再開する計画だったが、地元アラメダ郡が従業員らの安全などを理由に認めなかったことで、テスラは9日に同郡の命令の差し止めを求める訴えを起こしていた。
米カリフォルニア州のニューサム知事は11日の記者会見で「テスラとアラメダ郡の保健担当官が非常に建設的な会話を交わしている」と述べ、両者の早期の和解に期待を示したばかりだった。
マスク氏は近郊のパロアルト市にある本社を直ちに州外に移転するとも表明しており、強硬な姿勢は地元自治体との摩擦を大きくするおそれもある。
自動車産業が集積する米ミシガン州はすでに自動車関連工場の再開を認めており、米ゼネラル・モーターズ(GM)などの自動車大手は18日から段階的に生産を再開する計画を表明している。
カリフォルニア州も自動車生産の再開を容認しているが、州よりも厳しい独自の外出制限を続けるシリコンバレー周辺のアラメダ郡などの自治体は、現時点で地域内での自動車工場の再開を認めていない。
2020/5/12 7:05
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58971960S0A510C2000000/