「ほとんど門前払い」外国人就活生 コロナで内定遅れ
日本企業への就職を目指す外国人学生が窮地に追い込まれている。一部の企業が新型コロナウイルスの影響による業績悪化を受け、採用を絞っているためだ。企業は人手不足のほかダイバーシティー(多様性)で組織を強くする狙いなどから外国人の採用を増やしてきたはずだが、このまま見放してしまうのだろうか。
「外国人というだけでほとんど門前払いされてしまうのがつらい」。九州地方にある私大4年の韓国人留学生はこう語る。メーカー志望だが、まだ内定はない。
実家は金物店。子どもの頃、日本の工具はほとんど壊れないと知り、日本のメーカーで働くことを夢見た。日本語は韓国にいたときに塾に通って勉強した。「留学生を一律に受け入れないのではなく、日本語検定2級以上など基準を設けてチャンスを与えてほしい」と訴える。
関西の大学に通う30代のタイ出身の男性は金融業界を志望するが、まだ内定がない。現地大学で日本語学科を卒業。日本語の通訳などの仕事の傍ら、貯金を投資に回して運用し、ファイナンスを独学で学んだ。
「得意の日本語を生かしたい」といい、日本での新卒での就職を目指す。しかし「30社以上エントリーしたが、ほとんど書類選考で落ちた」。
海外大学出身で日本企業を目指す外国人も、厳しい環境に置かれている。
中国在住で現地の大学院を2019年6月に卒業した20代の女性は今年4月に東京都内の中堅IT企業に入社する予定だった。しかし、新型コロナの影響で就労ビザが下りないことからいったん入社時期が10月にずれ込んだ。
「状況だけに仕方ない」。そうやり過ごしたのもつかの間。4月下旬、今度は会社から内定を取り消す旨を通知するメールが届いた。頭が真っ白になった。
仕方なく日本にいる友人を通じ労働局に訴えようとしたが、日本にいないという理由で取り合ってもらえなかった。「入社していないとはいえ、こんなに簡単に人を切るなんて」。失望感はいまだ消えない。
続く
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO61476150U0A710C2XS5001/