今敏監督をしのんで 平尾隆之監督が今監督に教わったこと (2)
――制作進行とそういう話をして映像まで貸してくれるとは、すごく気さくな方ですね。
平尾:そうした面もある優しい方でした。仕事以外の部分では、少し毒のあるウィットにとんだジョークがお好きな方で、最初僕が話しかけたときの「殺すぞ」も、
きっと今さん流の照れ隠しだったんでしょうね。今さんは終電間際の夜の11時か12時ぐらいまで仕事をして、仕事がひと段落して帰る前に、スタジオのなかで
お酒を交えながらスタッフと歓談することが多かったんです。そのときが、いちばん今さんと会話できる時間でした。あと「真夜中のカーボーイ」の話もしましたね。
当時、「バッファロー'66」が公開されて(※1999年7月日本公開)、今さんが「しゃらくせえ」って話をされていて(笑)
――(笑)
平尾:ああいう映画はニューシネマの影響をうけていて、どうにもならない映画なんだ、みたいなことを言われていて。でも、今さん自身はおそらく「バッファロー'66」が
すごく好きなんですよ。その流れで、「真夜中のカーボーイ」の話もしてくれて、「お前も見ろ」と。「当時、田舎からでてきたやつが何もなせずに終わっていくような話が
はやっていたんだ。田舎からでてきたお前は、見て『ああはなるまい』って思うのがいいんだけれど、きっと映画の主人公と自分を重ねてちょっと酔っちゃうんだろうな」
みたいな話もされたりしました(笑)
https://anime.eiga.com/news/111747/2/