私たちが普段あまり意識することのない“視線”。しかし、そんな視線が怖くてたまらない“視線の恐怖”に苦しむ人たちがいます。アメリカの精神疾患の診断基準で、世界的にも広く用いられている“DSM-5”では、「社交(社会)不安障害(SAD)」の症状の一つとされてます
“視線の恐怖”についての声を募集したところ、100件を超える体験談が寄せられました。
「意識しても、視線が動くのを止められない。前、横、斜め、視界に映るすべての人間が怖いです。」(はるさん・20代)
「外に出ても、人の目ばかりが気になって、気が狂いそうになります。歩くのも下を向いてしまうし、人の目もまともに見れなくなりました。こんな自分が本当に嫌で、何度も死のうと思いました。」(トマトさん・高校生)
“不安の悪循環”が視線恐怖を増幅させる
人はなぜ“視線”に恐怖を感じるのか
清水栄司さんに、お話を伺いました。
「不安とか恐怖っていう感情は、人間が生きていくことに大事な感情なんですよね。非常に程度がひどい、重い状態、この恐怖感とか、不安感がすごく大きくなりすぎると、『病気』というような症状になってくると思います」(清水さん)
人と接する場面でネガティブな体験をする。「また同じようなことが起きるのではないか」と悪い予想をしてしまい、不安が増大。人を避けていくうちに、ますます不安になってしまう。こうして、不安の悪循環から抜け出せなくなってしまうのです。
大学生のティガーさんも「脇見恐怖」に悩んできた一人です。
高校に入って間もなく、自分が脇見をしていることに気付き、悩み始めました。
「気付いたら、人とかを見ちゃったりして。高校のときにクラスの子たちに『あいつ、また見ていたな』と言われて。陰口たたかれるようになってきて。まっすぐ見れなくて、常に周りというか、横とか斜め後ろとかを気にしてしまうんで、相手と会話するときも真正面を見ることがつらくて。」(ティガーさん)
横目で見るので、にらんでいるように見えてしまい、相手から変に思われてしまうというティガーさん。自分が見なければ周りの人は嫌な思いをせずに済んだはずだと罪悪感を持ちます
https://www.nhk.or.jp/heart-net/article/155/