統合失調症の典型的な症状(幻覚や妄想など)とそれぞれの細かな特徴について、富山大学附属病院神経精神科教授の鈴木道雄先生に、具体例をまじえながら解説していただきました。
合理的に説明しても修正されない誤った考え
統合失調症の陽性症状のひとつに、「妄想」があります。患者さんが誤った考えを抱いており、それが事実ではないことを合理的に説明しても訂正されない場合、「妄想」と判断します
統合失調症の陽性症状の中でも重視される「自我障害」とは
自分が操られているような「させられ体験」
自我障害とは、自分の意志や行為の独立性がはっきりしなくなったり、自己と他者の区別ができなくなったりする症状の総称で
代表的な自我障害の症状には「させられ体験」というものがあります。
周囲に考えていることが伝わってしまう「考想伝播」
自我障害には、声に出していないにも関わらず、自分の思考が周囲に知れ渡っていると確信する症状もあります。思考の面で「自己と他者の境界が曖昧になる」状態ということができます
極端な例ですが、自分の考えていることが日本中あるいは世界中に知れ渡ってしまうという感覚に陥る患者さんもおられます。
統合失調症の患者さんに、「それは病気によるものである」とお伝えしても、すんなりと理解することは困難でしょう。
このように考えると、統合失調症の「病識の欠如」はある種やむを得ない部分もあるといえます。
統合失調症の患者さんに病識を持ってもらうことは、病気の性質上、非常に難しい部分もあります。
しかし、完全ではないまでも病識を獲得することは、患者さんの予後の改善にも繋がります
https://medicalnote.jp/contents/170411-004-TV