実在しない監督「アラン・スミシー」誕生はペキンパーが原因!? アメリカン・ニューシネマ“直前期”のウェスタン
世に「アメリカン・ニューシネマ」と呼ばれる一連の作品が登場してから半世紀経ったが、一連の作品を同時代の映画として観てきた立場からすると、
アメリカン・ニューシネマは実はウェスタンから派生したジャンルだった気がする。『明日に向って撃て!』(1969年)はもちろんウェスタン(西部劇)だが、
『イージー★ライダー』(1969年)、『真夜中のカーボーイ』(1969年)も実はウェスタンの亜種なのだから。――つまり、『イージー★ライダー』のワイアットと
ビリーは馬ではなく改造バイクに乗っているというだけの違いだし、『真夜中のカーボーイ』のジョーは大都会ニューヨークで迷子になったカウボーイだった。
一般に、ヴェトナム反戦を訴え、既存の枠組みや世の中のルールに異を唱えながらも、結局は何も変えることなどできない無力感を反映することで、
若い世代の観客に圧倒的に支持され、守旧派の牛耳る映画業界に新風を吹き込んでいった――。それが、この時期に台頭してきた映画人たちだった
というのが大方の見方だと思うのだが、ウェスタンというジャンルに限っては、そうとばかりも言えない。
https://www.banger.jp/movie/78047/