>>60 現実の化学ロケットのデルタV(速度ゼロからどこまで加速できるか)はせいぜい秒速十数キロとかその辺
つまり速度ゼロで発射しても秒速十数キロくらいまでしか加速できない
ロケットのデルタVは比推力(燃費を表す指標で大きいほど燃費がいい)と質量比(燃料込みの全重量が燃料を抜いた
機体そのものの質量の何倍になるかを表し、大きいほど燃料重量に比べて機体が軽量化されていることになる)の
2つのパラメータで決まり、両者ともに大きいほどデルタVが高くなる
比推力は化学ロケットである時点で限界が決まってしまうし、質量比にしても現実問題として大量の燃料を積んだ機体は
どうしても重くならざるを得ないのでやはり限界があり、結局のところ↑の程度の数字に収まっている
なので現実の探査機では目的地へ向かうために必要な初速を化学ロケットで得られないこともよくあり、その場合には
惑星を利用したスイングバイで足りない速度を稼ぐことになる
イオンエンジンは比推力が化学ロケットと比べて一桁高いので、同じ質量比でも一桁大きなデルタVを実現できる点で
画期的なエンジンといえる
ただし推力が非常に弱くて最高速度まで加速するのに年単位の時間がかかる(化学ロケットは数分)ので、SFのように
宇宙空間を自由に飛び回れるというイメージには程遠い